頂を目指す二ノ姫W

□5日目C 驚愕
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「あ〜。あんなに頑張って張った結界がパァじゃないですか〜
本当ぶっ殺しますよ」






『それにしてもここに集まりすぎだわ
今バタバタしてるとはいえ、現世が疎かになりすぎね』






そう言う栞と桜は、真っ黒い着物――死覇装に身を包んでいた
腰に下げた刀――斬魄刀を鞘から抜く

すると、いち早く衝撃から抜け出した幸村が叫んだ


「桜!!」

『…………梢、梦(ゆめ)』


桜は幸村を一瞥しただけで彼に答えず、名を呼んだ
すると幸村たちの背後から、"桜"と、"栞"が現れる


「!!えぇっ!!!」

「ど……どうなって」


訳もわからず凝視する彼ら
しかしその中で、困惑したように顔を歪める者たちもいた


「あの……宍戸さんたちどうしたんっスか?肩から血を流して」

「何に驚いてんだよ赤也、ブン太」

「なっ桃城てめぇ!何言ってやがんだ!!」

「そうだぜぃ!!」

「あそこにバケモノがいるの見えないんスか?
しかも、桜さんと初瀬さんが2人いるんスよ!?」

「は?」

「お前らこそ何言ってんだ?
桜と初瀬が2人って、そんなわけねーだろ?」

「「「!?」」」

「(彼らには、見えていないのか?)」

「(どうやらそのようだな)」


乾と柳は怪訝そうに眉を寄せる
その間に、桜の体に入った梢
そして栞の体に入った義魂丸"梦"は、さっと宍戸たちの元まで駆ける


「な、何だ…………なっ!!!」


すると有無を言わさず、いきなり梢が宍戸を抱えあげた
梦が日吉と鳳を担ぎ上げる
そして鋭い眼光を跡部と真田に向けた


「“こっちへ”」

『“ここは危ないので”』


混乱した状態だが今やらなければならないことは理解できたのか足を動かす
梢と梦は幸村たちのもとに来ると宍戸たちを投げ捨てた


「うわっ!!」

「宍戸っ!!」

「日吉!!!鳳!!大丈夫なんか!!!」


しかし3人は呆然と彼女たちを見上げた
死覇装を着た桜たちと梢たちを見比べる
双子などと言うレベルではないそれに驚きが広がる
第一に、彼女たちに双子がいるなど聞いたこともないのだから


『……藍』

「りょーかい」


すると栞が突然消えた
そのことに目を瞠る間もなく、栞は橘たち不動峰の傍に現れた

桜たちの登場に驚いていたバケモノ――虚たちは雄たけびを上げた



《今の術、死神だ!!!》


《こんなところで最高級のご馳走に出くわすとは!!!》


《ワシらはついとる》



『うるさいわね』


そう言うや否や、桜が斬魄刀を一振りした
その瞬間、彼女の前にいた数十という虚が一瞬にして消え失せた


「………え…」


しかも、その時にはすでに不動峰の姿もなくなっていた
速すぎる展開に追いつけない跡部たちの耳に虚たちの絶叫が響き渡る



《何がオキタァァァァ》


「うるさいなぁ。黙っててほしいよ」


栞は顔を顰め、桜の隣に現れた
すると今度は桜が彼らに近づく


「さ、桜!!!」

『…………大丈夫よ』


腕を掴んだジローに微笑み、桜はやんわりとそれを離す
そして斬魄刀を地面に突き立てた


……孤空の徒、消失・背面・突き立てる御剣、一寸先は罠、音も唄わず



縛式ノ五十四 "黒壁主寵"』




すると、彼らの周りに透き通るような黒のドーム型のような壁が出現し、彼らを覆った
驚いて手を伸ばしたジローは、それが自分を妨げるのに気付いて目を丸くした


『その中にいれば守ってくれるから、待ってなさい』


静かで、冷たい桜の声
桜はフッと目を伏せると背を向け、バケモノに向かって歩いて行った



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