頂を目指す二ノ姫X

□たった一人の攻防
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全国中学生テニストーナメント全国大会
アリーナテニスコートには、全国に駒を進めた選手たちが集まっていた



「《…これより、全国大会を開催します!!選手入場!!》」



色とりどりのジャージに個性豊かな選手たちが整列する
そして昨年の優勝校である立海から優勝旗が返還された

こうして、全国の火蓋は切って落とされた





『(………熱気がすごい……)』


全国から集まった猛者たち
彼らはただ一つの頂を目指している
どこも力が入っていた


『あと少し………か………』
























氷帝や不動峰の試合を見て回った桜は予想通りの結果に考え込んでいた
今、青学の緒戦の相手が六角か沖縄の比嘉か決まる試合をしているが


『(……おそらく、くるのは比嘉になるでしょうね…)』


伝え聞いた沖縄武術の存在と、木手永四郎の存在
獅子楽を破り九州を制したその実力は並ではない


『(……このまま氷帝が勝ち上がり、うちが比嘉を破れば……)』


関東大会の再現になる
そして、それを自分は望んでいる


『……六角とも戦いたいんだけど………』


しかし目の前の試合はそれが無理だということを語っていた

全国大会からは大会特別ルールが導入されている
それはシングルスとダブルスを交互に行っていくというもの
そして今はシングルス1
結果は六角の惨敗だった


『サエ……』

「桜。氷帝と不動峰はどうだった?」


ジッとコートを見ていた桜に乾が問いかけた
桜は彼を見上げて目じりを下げた


『どっちも順当に勝ってる。おそらく勝ち上がるでしょうね
もっとも、不動峰はうちと当たる前に四天宝寺と当たるんだけど』


そう桜が肩を落とせば乾がノートを開いた


「ところで、桜は比嘉中のことを知っていたか?」

『あまり。ダークホースは伊達じゃないわね
ただ、沖縄武術の天才少年たちを、木手永四郎という男がかき集めたこと
そして、沖縄武術のとある動き
それがサービスラインから一歩でネットにつくことを可能にしている事は知ってるわ』

「それって………」


「《ゲーム甲斐 4−3!!》」



押されている佐伯と、余裕な比嘉中の甲斐裕次郎
桜はジッとその動きを見て口を開いた





「…縮地法ぅ」


『縮地法よ』






その時、桜とオジイの声が重なった
それに比嘉中テニス部部長、木手永四郎は気づいて顔を向けた


『(……さすが)』

「……縮地法?」

「沖縄武術などでぇ〜相手に悟られず接近する方法ぅ」

『地面を蹴って走るんじゃなく、地球の引力
つまり自然落下を使ってむしろ速く歩くのよ
それこそ一歩でまたぐという感じね』

「それならぁ初動が全く相手から見えず頭の位置が変わらないのでぇ〜
一瞬でネット際に現れた様な錯覚を起こさせる」

「(オジイ…桜……)」


佐伯はオジイと桜の解説に表情を緩めた。しかし



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