頂を目指す二ノ姫Ⅴ
□一撃必殺ビッグバン
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「《ザ・ベスト・オブ・１セットマッチ 青学サービスプレイ！！》」
ついに始まった、青学の全国最初の試合
リョーマはツイストサーブを繰り出した
それに対して田仁志はキャリオカステップを使い器用にボールに沿うように横に跳ぶ
そしてバックハンドでボールを打ち返した
「かってんぐゎ――っ！！」
「ウッソーッ」
「はいでぇ――っ！！」
「しみぃてぃいちゅんどぉー！！
(さあ攻めるぜ！！)」
しかし、その田仁志の横を、バウンドせずにボールが転がっていった
田仁志は呆然と突っ立っている
『あれは…』
「立海真田戦の最後に見せた…」
「ＣＯＯＬドライブ！！」
リョーマのそれがコートを抉る
しかし桜は目を細めた
膝に肘をついて頬杖をつく
『(……あの時より、回転数が少ないのかしら……)』
「凄い
あのイレギュラーバウンドを、この短期間で越前は会得したというのか…」
田仁志はバウンドしないボールに苦虫を噛み潰したような顔をした
前に出られないことに苛立ったように言う
「何がＣＯＯＬドライブだばぁ」
「ねぇ。勘違いしないでくんない？」
するとリョーマの声が田仁志に向けられる
静かなその声音には余裕が見え隠れしていた
「今まで打ってたのはドライブＣ…
回転数はそれの半分にも満たない」
『なるほど…そういうことね』
桜は納得したように頷いた
回転数が少ないのは勘違いではなかったのだ
「そして…今から打つのがＣＯＯＬドライブ！」
そう言い切るとリョーマはラケットを左に持ち直した
右利きである田仁志に対してツイストを打つために右手に持っていたのだ
案の定比嘉の面々はリョーマが左利きであることに驚いていた
桜はフフッと笑ってリョーマのサーブを見た
『(随分とサーブも速くなったし、秀たちとお芝居したかいあったかしら)』
手塚が九州に旅立つ前に焚き付けたことであるが、成果が出ているようで安心した
リョーマのキレのあるサーブを田仁志が何とか打ち返す
すかさずリョーマは田仁志の意表をついてドロップボレーを繰り出した
早々に１ゲーム奪う
「越前の奴。一気に主導権を握ったな」
「いーぞおチビ！！」
リョーマのプレイに、不二は隣に立つ男に声をかけた
「どう、青学の柱の成長ぶりは？
頼もしくなったんじゃない」
「だいぶ経験を積んだ様だな
だが試合はまだ始まったばかりだ！
全国では一つの油断が命取りとなる」
「そうだね」
比嘉中の面々も、リョーマのプレイにある意味関心を向けていた
「あいひゃー。慧くん完全に１年坊主に呑まれてるさぁ
くぬまま１年に負けたりしてな」
「ノープロブレムだろ」
甲斐の言葉に木手は薄ら笑いを浮かべていた
田仁志のサーブを見る
「田仁志クンにはアレがある…」
すると、田仁志はその巨体を気にせずに飛び上がった
そして
「ぬおおおおおっビッグバン！！」
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