頂を目指す二ノ姫X

□一撃必殺ビッグバン
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再びリョーマのサーブだ
部員は心配そうにリョーマを見つめる


「…にゃろう」


リョーマはわずかに前方にボールを放り、ラケットを振り下した
そしてネットに走り出す


「見ろっ。やはりサービスダッシュやさぁ!!」

「(そうやって多くの奴が勝負を焦るのさぁ)
ぶははっ狙い打ちやさーっ!!」


田仁志がリョーマの裏をかきストレートにボールを打つ
しかし桜はわずかに口角を上げた


『リョーマを見くびり過ぎだわ』

「何ぃーっありぃ返―するばい?」

「(コイツぅ!もう一丁喰らえっ!!)」


またもやリョーマの裏をかき、今度は完璧に逆を突いた。かに見えた


『リョーマには、1本足のスプリットステップがあるわ』


追いつけないと思われるボールにも、リョーマは追いつくことが出来る
田仁志のボールにもリョーマは難なく追いついた。しかし


「スルーしたっ!?」


「《アーウト 15−0!!》」


「(冷静だ、このチビ…)」


ボールに追いついたが、アウトになると判断したリョーマ
全く焦っていないその様子に桜も喉を鳴らす
リョーマは生意気な笑みを比嘉中に向け、挑発するようにラケットのフレームでボールを打った


「越前には相手のビッグサーブに対するプレッシャーは全く無いみたいだね」

『(そんなものあったら、リョーマはもうちょっと大人しかったでしょうね)』


あの生意気さでそれはないだろう
リョーマはそのいつもの不敵な笑みで田仁志に口を開く


「ねぇ…じゃあこっちもサービスゲーム落とさないから負けないね。んで…





アンタからリターンエース奪って勝つのは俺だけどね」





「上等やさコラァ!!」





確実にサービスゲームをキープする2人
しかしリョーマはいまだビッグバンを一度も返すことが出来ていなかった
果敢に挑むが歯が立たない

しかし桜はどこか違和感を感じていた


『(…なんか、企んでそうなのよね……)』


コートチェンジの時、ドリンクを飲んだ時
リョーマは口こそ割らなかったが何かを確実に考えていた
だからこそ、桜に何も言わず、見ていてほしいと訴えていた


『(まぁ、楽しませてもらうからね、リョーマ)』


しかしそのまま為すすべなく、遂にタイブレークに突入した
リョーマからのサーブだ


「とうとうタイブレークまで来ちゃったよ。マズイよおチビ〜ィ」

「ここまでお互い自分のサービスゲームはキープしてきた
でもここからは1本のミスが勝敗を分ける。まずは越前の1本目だ」

『(タイブレークの初球…
誰もがポイントを欲しがるから慎重になり、サーブのコース・威力が若干甘くなる
つまり絶好のリターンエースのチャンスになるけど……)』

「危ないっ!!」


リョーマのサーブが田仁志に捉えられ、凄まじい威力となってリョーマのコートに帰って来た
思わず不二が叫ぶ
しかし、田仁志のコントロールの甘さに助けられたのか、ボールはラインより外に出た



「《アーウト 1−0越前!!》」


「ふーっ危ねぇな」


しかし次は田仁志のサーブ
さらに、その次も田仁志のサーブになる
リョーマはラケットを吹っ飛ばされ手も足も出ない
しかし、桜の目が微かに光った


『(へぇ……なるほど。役者ねぇリョーマも)』


桜のその様子に誰も気づく事は無く、比嘉は勢いづき、青学は不安げだ
そしてまた、田仁志のビッグバンにリョーマのラケットが弾き飛ばされる
リョーマもサービスゲームはキープしているがその差は一向に開かない



「《田仁志5−5!!》」


「はいでぇーっさすがビッグバン。未だ威力衰えず!!」

「未だ威力衰えず…?」


活気づく応援の声とそれを受ける田仁志
しかし木手は引っ掛かりを感じて眉を顰めた



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