頂を目指す二ノ姫X

□一撃必殺ビッグバン
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「(タイブレークまで40分以上打ち続け、威力が衰えないハズは無いが……)」


そして、木手は唐突に思い出した
ラケットを弾き飛ばされた時の、リョーマの表情に


「(――まさか)」


彼が笑っていたことに


「はっはぁ――っ!!消し飛べぇーチビ!!」

『ここよ!』

「田仁志クン気を付けろーっ!!」






キミのビッグバンの威力はもうとっくに衰えているんだ!






しかしもう遅かった
リョーマは冷静にラケットを引き、完璧なタイミングで


『やるわね、リョーマ』


ボールをコートに打ち返し、リターンエースをもぎ取った


「(あの1年生、後半戦わざとラケットを弾かれ威力が落ちてないと思わせ、
完璧に返せるまでそのタイミングをずっと狙っていたというのか?)
リターンエースで決める為のワナを…」


リョーマは自分が言った事を忠実に実行したのだ
リターンエースを奪うというその言葉を


「来たぁーっとうとうビッグバンを返したっ!!」

『まずまずね』

「ぬぅがくれー
(バカな…)」

「ボク等も罠にはめられたみたいだね」

「(アイツめ。あの一本の為に…ハラハラさせやがって)」


リョーマは生意気に笑い、ラケットを田仁志に突き付けた






「まだまだだね」






まさか返されると思っていなかった比嘉中は、田仁志を含め呆然としていた
桜は口元に手を当てクスクスと笑う
そして、先ほどまでの笑顔が嘘のように、優しい目でリョーマを見つめた


『ホントに、リョーマには驚かされるわ』

「さあ決めるよ」


木手は冷たい目で田仁志を見下ろす


「調子に乗り過ぎましたねぇ……田仁志クン」

「(……ま、負けられねぇ!!)」


体を震わせた田仁志はラケットを握りしめた
そして雄たけびを上げる

その後の動きが変わり、必死にボールを追いかける


「はいでぇーっ田仁志。死んでもそのポイント落とすんじゃねー!!」

「田仁志の奴、ここへ来ていいテンションだ!」

「にゃろう!」


しかしリョーマも負けじとテンションを上げる
ネットの上にボールが浮いた。リョーマがジャンプする


「ドライブA!!」


しかしそれを田仁志が打ち返す
続いてリョーマはスライディングした


「ドライブB!!」


しかしそれも拾われた
リョーマもこの長時間の試合で疲労が蓄積されているのだ
その時、リョーマは審判台に足をかけてジャンプした
それを見て田仁志が叫ぶ


「ドライブCなら縮地法を使ってノーバウンドで返すまでだ!!」


しかし、リョーマが打ったのはドライブCではなかった
それは最初に宣言した通り






「COOLドライブ」






その瞬間、青学から歓声が生まれた
桜も手を組みにっこりと笑う
しかし頬にボールを受け、コートに倒れた田仁志がリョーマを見上げた


「…おいチビ、俺に勝ったぐらいでいい気になんなよ
比嘉中の恐ろしさはこれからだばぁ」



「《ゲームセットウォンバイ 越前7−6》」





→atogaki
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