頂を目指す二ノ姫X

□一撃必殺ビッグバン
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『だから、私がいくってば!』

「だめじゃ。アタシがいく!!」


桜とスミレは先ほどから言い争っていた
その剣幕に部員が遠巻きに見つめている
何があったのか聞いただけの部員は桜の冷笑に縮み上がり、
そして怒りに委縮してしまっていた

そんなことはお構いなしに桜はスミレに言い募る


『だから、私が座るってば。何で止めるの』

「何でもないよ
いいからアタシがベンチに座るからお前さんは手塚達といるんじゃ!!」

『いやです
昨日全国大会では全部ベンチコーチを任せるって言ってたでしょ!』

「遠慮しておったじゃろ!!」

『全然まったく!!!』


ジッと睨み合うスミレと桜
部員はビクビクとしていて少しずつ2人から離れて行く

先に折れたのは、やはりというかスミレだった


「………お前さんは……一度決めたらてこでも譲らないね」

『ごめんなさいね、スミレちゃん』


ため息をつくスミレに、桜は表情を引き締める
ギュッと拳を握り、目を細める


『でも、許せないのよ』


その横顔は、凛々しくもあり厳しかった
























シングルス3から始まり、リョーマがネットの前に立つ
相手はリョーマの2倍、いやそれ以上に縦にも横にも大きい男
桜はドリンクやタオルをスミレとの口論で忘れ、取りに来て横目でそれを見ていた


「ぬぅーやが、くぬぅちぃぴぃらーぐゎーや
(何だこのチビはーっ)
あんいいねぇーきっさぁまぎぃぐちたたちゃるくとぅ、くぅーくぇーしぃみーさぁ
(そーいやさっきデカイ口を叩いた事、後悔させてやるよ〜っ!!)」


ラケットを振り回していう男に、リョーマがきっぱりと言う


「ねぇアンタ。ダイエットした方がいーんじゃないの」

「ぬぅーやんコラーッ!!」

「ああ、リョーマ君!?」


リョーマは試合相手の田仁志慧に胸倉を掴まれ宙づりにされた
しかしリョーマは怯まず余裕を無くさない


「リバウンドには気を付けた方がいーよ」

「コラッ。止めなさいキミッ!!」


審判が田仁志に鋭い声で注意する
その乱暴な行為に桃城がいきり立った


「何しやがんだテメーは!!」

「するばぁーい!東京むんぬぅ」

「止めなさいよ青学諸君!
ここに居る皆さん沖縄武術の心得があるからね」

「ほう。やってみなきゃ分かんねーよ。なあ海堂」


挑発する木手と、指を鳴らす桃城と鋭い眼光の海堂
するとパンパン、と手を叩き桜がその間に入った


『やめさなさい貴方たち』

「!桜先輩!!」


桜が前に立ったことに桃城と海堂が慌てた
木手は桜を見て薄ら笑いを浮かべる


「おや、賢明な判断ですね
さすが見抜く者は力の差をよく分かって…」

『……貴方たちも、いい加減に黙りなさい』

「………」

「んだとぉ!!」


その眼光は鋭く射るようだ
それに一瞬彼らは身を引いた


『貴方たちのその態度、言動の全てが沖縄の、比嘉中の恥を晒しているのが分からないの?』

「……ぬーやんコラー」

「……退きなさい君達」


木手がメガネを押し上げ、不機嫌そうにそう制した
その目に、その言葉に、理解させられた
分が悪いのは自分達だと
苛立たしげに、木手はちらりと背を見せた桜を片目で見る


「彼女……なかなかの強者のようですね」




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