夜空を纏う四ノ姫3

□疑念
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翌日

入江は自分の研究室でパソコンに向かって唸っていた
画面に映った事実に口を引き結ぶ


「間違いない………また過去から誰か来てる」


10年前の守護者がまた、ボンゴレリングを持ってこの時代にやってきたのだ
しかし、居場所が突き止められずに入江は苛立っていた


「(一体どこにいるんだ?なぜみつからない
そろそろボンゴレの連中をみつけないと白蘭サンだって……)」





『難しい顔してどうしたの?』





「アーン?何かあったのか?」





「うわぁっ、桜!!跡部くん!!」


いきなり横から声がして、入江は文字通り飛び上がって驚いた
驚かせた張本人、桜は心外だとばかりに腰に手を当て、跡部は呆れた顔をした


『ちょっと人を幽霊みたいに。酷いじゃない正一』

「少し気を抜きすぎなんじゃねーか?入江隊長」


跡部は腕を組み嘆息する
桜は慌てている入江を見て内心苦笑していた


『(まぁ、間違ってないんだけどね……)』

「す、すまない。全然気付かなかった……
でもいきなり入って来ないでくれよ
ノックぐらいしてくれ」

『したわよ、ノック』

「2回もな」

「………」


黙ってしまった入江に跡部は再度息を吐く
桜はそれで?と首を傾げた


『どうしたの?』

「いや。また過去から誰か来てるんだ」

「ほぅ」

『そう。誰か来たかは分からないのよね?』


桜は顎に手を当て目を細めた
入江は眼鏡を押し上げて頷く


「ああ。桜と跡部くんは10年前の沢田綱吉を見たんだろう?」

『ええ。あと第3部隊からの報告では獄寺隼人と山本武もいたみたいよ』

「あと残ってる守護者は晴の守護者笹川了平に、雲の守護者雲雀恭弥、雷の守護者ランボ
それから霧の守護者六道骸…いや、クローム髑髏の方か?」

『そうねぇ。次は誰かしら』


楽しそうな表情で唇を触る桜に入江が口を開いた
しかし言葉を発する前に、堅い面持ちの手塚
そしてヒールを響かせるチェルベッロの2人が入ってきた
手塚は桜を見るなり微かに眉を顰め、入江に堅い声音で言った


「やはりここだったか、入江。探したぞ」

「上着は肌身離さずお持ちください
連絡用無線が使えません」

「それと、桜様も電源を常に入れておいてください
携帯する意味がありません」

『あら、ごめんなさいね』

「…電源くらい入れとけよ」


口々に言われ、桜は大して悪びれずに謝る
跡部は呆れ気味だ。手塚も息を吐く
入江は手塚とチェルベッロを見た


「君達、ノックぐらい………」

「しました」

「2回な」

「「『……………』」」


桜と跡部は先程のやり取りを思い出した

入江は気を取り直したように手塚に問いかける


「…何の用だい手塚君?ボンゴレ捜索会議は午後からだろ?」

「…また問題が起きたんだ」

「第8グリチネ隊隊長グロ・キシニア殿が、戦闘により重傷です」

『……へぇ』

「なんだって!?」


その報告に入江は血相を変えた
桜は昨晩の事を思い出す

第8グリチネ隊は昨夜遅くに日本に到着した
白蘭の命令により入江に報告がされていたなかったため入江は大層驚いていたものだ
桜はグロの存在に辟易していたためあまり接触はしなかったが、入江も気を揉んだらしい
その時はグロに不審な動きはないという報告だったが、一体どういう事か

桜は続けざまに起こる問題に入江の胃を心配した
跡部は大して興味もなさそうに口を開く


「おい。確か第8部隊は今朝の報告では待機しているときていただろう」

「グロ殿は単独で黒曜ランドに向かったようです」

「こ……黒曜ランドだって!?」

「ほう」

『あら。また面白い所に……』


何らかの意図を感じさせる場所だ
桜は薄く笑い、跡部は腕を組む



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