夜空を纏う四ノ姫3

□夜襲
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「チッ」


跡部は思わず舌打ちをした
隣に居た手塚が目だけを向ける


「……随分苛立っているな」

「……仕方ないだろう
かなりの時間が経ったというのに未だ収穫ゼロだ
そろそろ気付いてもいい頃だというのに……」

「入江には判断力がねぇ
あいつは人の上に立つことに向いてねぇ」

「………まぁ、お前から見ればな」


手塚は眼鏡を押し上げ、入江の背中を見た
いつまでも来ない連絡を電波障害の為と思っている
しかし、ここまで来れば結果は見えた


「(恐らく…罠だ。ボンゴレの)」


そして桜の言った通り、奴らは侵入して来たのだろう
司令室は極端に人が少なくなっていた
桜は先程アフロの女、アイリス・ヘプバーンと司令室を出て行ったし、
他にも幻騎士や魔法使いのような出で立ちの男、ジンジャー・ブレッドなど何人か出て行った


「あと少しでもこのままなら俺が入江に言うぞ」

「まぁ、いい加減この状態も疲れていた所だ。構わないだろう」

「ああ」





ヴーヴー





「「「!!!」」」


すると、突然けたたましい警報が鳴り響いた
手塚ははぁ、と息を吐いて跡部を見た


「タイミングがいいな」

「全くだ…」

「…………やはり侵入していたな。ボンゴレ…10代目」


彼等の目の前のモニター

そこに映しだされた映像は入江に自分の目を疑わせた
今現在襲撃しているボンゴレアジトにいると思われていた

沢田綱吉以下四名

その姿があったのだから


「……………………何だこれは…」


けたたましい警報の音が響く中、入江の口から微かに震える声が零れた


「なぜ、ここにこいつらが…





ボンゴレがいるんだ!!!





信じられないモノを見るように入江は叫んだ


「ボンゴレアジトはどうなってる!!
強襲隊との連絡はまだ取れないのか!?」

「ハッ。一向に電波障害がおさまりません」


それを聞いた入江は冷めた表情をした
グッと目を眇める


「ハメられたな」

「(やっとか………)」


跡部はハァ、と息を吐いた
入江は声を低くして顔を俯かせる


「ボンゴレの電気施設を破壊したために起きている
電波障害という報告はデタラメだったんだ…
これは事故をよそおった奴らの罠だったんだ!!」

「入江様…」


気遣わしげにチェルベッロが声をかける
入江は眼鏡をはずしチェルベッロを見た


「まずこのやかましい警報を切ってくれ!!」


手塚と跡部と柳は入江をジッと見ていた
入江はなおも鋭く言う


「ボンゴレアジトへ偵察を送れ!!少人数でいい」

「ハッ」

「警備システムサーバーへはCランク以上の兵を回せ!!」

「了解っ」


指示を終えた入江はふと手塚たちを見た
眉を寄せる彼に手塚が問いかける


「どうした?」

「いや……なぜ今まで気付かなかったのかと思って…」


口ごもる入江に柳と跡部が口を開いた


「フム……まぁ、な」

「監視カメラには映らなかったのか?」





《カメラに偽景フィルターをつけられていたのよ》





跡部の問いに突然ノイズ混じりの桜の声が割り込んだ
続いて画面に桜とアフロの女の姿が映し出される



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