夜空を纏う四ノ姫3

□夜襲
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《ハーイ。大将》

「桜、アイリス!!」


アイリスは四角いフィルターを指で回しながらこともなげに言った


《あいつらの通ったルートにはいつもと変わらぬ光景が映し出されるように
このフィルターが設置されてたんだよ》

《まあステルスリングを使えば取り付けることにさほど問題はないわ》

「ステルスリングか……確かにな」

「情けねぇ」


跡部がハッと息を吐く
入江は2人に叫んだ


「桜、アイリス
君達は奴らの潜入に気付いていたのか!?」

《いんや。アタイ達が気付いてたのは"異変"だよ》

《格納庫に震動があった時に映し出された画像の一部に欠けがあったからね
アイリスに誘われて見に来たのよ》

「格納庫?」

「ハッ。周辺から震動が確認されていたのですが
私の判断で入江様には…申し訳ありません」


格納庫の事を知らず訝る入江にチェルベッロの一人が謝罪した


《色んな失態が重なっちまったようだねぇ》


画面が遠くなり桜とアイリスの全身を映す
すると、その横に全身傷だらけで両手を後ろで縛られている男の姿があった


「!!あいつはデンドロ・キラム!!」

「なるほど。その震動とやらは奴とボンゴレの戦闘のものか…」

《ただこの異変に気付いたのは私たちだけじゃなさそうよ。ね?アイリス》

《ああ。あん時の様子じゃジンジャーとターバンオヤジも気付いてたねぇ。んん?》


するとアイリスと桜の顔が砂嵐で歪み、ついには画面全体が見えなくなった
跡部が苦い顔をした


「警備システムサーバーが破壊されたか」

「そのようだ」


手塚が頷くとその横を柳が通り過ぎる
そのままある端末を操作し始めた
入江は苛立ったように叫ぶ


「何をしている!!早く誰かを向かわせろ!!」

「それがボンゴレアジト強襲にCランク以上は割かれておりまして…」

「そんなことはわかってる!!誰か近くにいないのか!?」

「入江。ブラックスペルのスパナが地下9階で整備中だ」


柳が端末から顔を上げてそう言う
入江は表情を変えた


「スパナ?奴がいたのか…ツイてるぞ」

「個人とのモニター通信はできるな?すぐに繋げ」

「は……ハッ」


跡部がすかさずそう言えば、一瞬呆けたがすぐさまモニターに映像が映った
棒付きのアメを口にする作業着の男


「やあスパナ。僕だ
ボンゴレが地下8階の警備システムに侵入して破壊した
君にただちに迎撃してほしいんだ」


跡部と柳、そして手塚はスパナと話す入江から距離を取った
跡部が不機嫌な顔をする


「おい。ボンゴレが来たとなれば、奴らの目的は主要施設の破壊だな」

「ああ。恐らくな
それに俺や景吾の写真も出回っているだろうし、
特にお前達はボンゴレ10代目と直接会ったんだろう。標的になり易い」

「しかも、アレの存在も知られているとなれば……」


手塚と柳が跡部を見れば、彼は顎に手を当てて考え込むようしていた
徐に無線を取り出す


「まず、国光。お前はこのまま入江と一緒に居ろ
情報を逐一俺達にあげろ」

「分かった」

「蓮二。お前は先に研究室を片付けておけ
あそこに敵が絶対に来ないという確証はない
あそこのものを荒らされちゃ困るからな」

「了解した」

「俺は桜と合流して動くことにする
他の奴等にはこれから俺が指示を出す
後は各自の判断で動け」

「ああ」

「分かった」


彼等は頷き合い、そしてそれぞれ背を向けた
跡部は桜の許に向かうべく無線を繋げる


「(……そろそろか)」















その頃、用水路
入江の命令を受けてスパナがツナと対峙する



→Un afterword
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