頂を目指す二ノ姫X

□己との戦い
2ページ/5ページ





思うように動かない肩
桜と似た雰囲気を持つ、真面目な青年石動森
自分のことをドロボウの兄ちゃんと呼ぶミユキという少女
そして、彼女が見せた勇気

手塚の脳裏にはあの時のことが、会話が、気づかされたものが、数多く甦っていた















氷帝コールが鳴りやまない

樺地の能力に追い詰められているように見える手塚
手塚ゾーンまで吸収され、ラリーが続いていた


「このラリーいつまで…?」

「このまま永遠に続いたらどっちもリタイアじゃん!?」

『いいえ…体格が違いすぎるわ
長びけば国光が不利よ………でも』


手塚の表情を見て、フッと笑った
大石も分かっているのか冷静だ


「あれが追いつめられてる男の顔に見えるかい?むしろ……」


すると、手塚が動いた
ラケットヘッドを下げる






「零式ドロップショット!?」






「血迷ったか手塚ぁー!!」


ゾーンを崩した手塚のドロップショット
しかしそれすらも樺地に吸収されてしまう
樺地がネットに詰めて来てボールを打った






その樺地の足元に、手塚がボールを打ち込んだ






周りを一瞬で黙らせた手塚は静かな声音で冷静に言う
彼は追い詰められてなどいなかった


「お前の能力、充分見させて貰った
……だがそれだけでは俺には勝てない!







次はこっちの番だな







そう言った手塚の左腕からオーラが溢れる
いっそ神々しいその姿に誰もが息を呑んだ







「百錬自得の極み!!」







桜は指を組んで顎を乗せた
樺地がお構いなしにサーブを打つのを見て眉を顰める


「はっ!!」


手塚はサーブを気迫と共に打ち返す
それはまだ打った後の姿勢の樺地の後ろに突き刺さった


「同じ球種で倍返し…か?」

「バ、バカな…何だ今のは?」

「!」


氷帝側が騒然とする中、跡部は樺地の只ならぬ様子に気が付いた
樺地は呆然と手塚を見ていて、身動き一つしていなかった
審判に促されても固まったままで、跡部が呼びかけてようやく動き出した



.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ