夜空を纏う四ノ姫3

□匣、メローネ基地
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「全員聞こえるか」

《国光。どうしたの?》

《なんかあったんか?》


手塚の声に、反応する声多数
全員と繋がっていることを確認した手塚は話し始めた


「桜の提案により、戦力を分け配置することになった
俺達の配置は桜か俺か景吾に一任されるそうだ
桜、お前は好きに動いていいとの入江からの伝言だ」

《……へぇ、そう…》



桜はどこか含みを持たせた声音だ
その事に眉間にしわを寄せる
だが、柳の声が思考を戻した


《それで、他の配置はどうなっているんだ?》

「ああ。今から言う。いいか」

《ええ。いいわよ》

「まず、コンピュータールームにはアイリス
司令室にはγと太猿、ジンジャー
研究室にバイシャナとニゲラと幻騎士だ
俺は入江とともに司令室に残ることになった」

《……戦力に偏りがあるように思うが………》

「それも踏まえて割り振りをするべきだろう
桜、どうする?」


手塚がそう問えば、桜が小さく唸っていた
隣で跡部も何かを言っている


《そう……ね。それならこうしましょう
確かに偏りがあるけどコンピュータールームがアイリスなら無暗に人を配置しない方がいい
アレがあるからね。だから司令室と研究室に重点を置きましょう
蔵ノ介と赤也と蓮二は司令室
弦一郎と謙也は研究室をお願い
周助だけは申し訳ないんだけどコンピュータールームに
アイリスも貴方はそこまで嫌ってないみたいだし》

《分かった》

《景吾は私と一緒に研究室に行きましょう》

「研究室にそれほど人がいるか?」


怪訝な声で問えば、桜の声が聞こえる前に白石が口を挟んだ
それはどこか自嘲の響きを持っていた


《そら、あそこには大事なもんがあるからな》

《ああ。入江の中の優先順位ではあれが最もだろう》

「……確かに、そうだな
今、あれを壊される訳にはいかないか」


入江の表情を思い出し、手塚は納得した
桜の笑った声がする
しかし、それに手塚は、手塚たちは背筋を伸ばした


《それじゃあ皆、よろしくね》

「《ハッ》」
























桜は歩きながら微笑んでいた
その様子に跡部が訝しむが声はかけない
桜は面白そうに喉で笑う


『(好きに動いていい、か
正一も賭けに出たわね。そういう所は好きよ)』


まさか彼がそんなことを言うとは思わなかった
自分もまた、彼の事を計りきれていないのだろうか


『(これだから人間は面白い…)』


胸の辺りを手で掴み、目を細める
堅いその感触に息を吐き、桜は跡部を見上げた


『それじゃあ、行きましょうか』

「ああ」




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