夜空を纏う四ノ姫3

□匣、メローネ基地
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―――――
―――


手塚からの通信から数十分後、展示室の前に謙也はいた
彼は目の前の大蛇に目を奪われ、息を呑んだ
バイシャナの匣兵器だ
そしてそれを迎え撃つ、ボンゴレの晴の守護者


「(随分成長してんのやな)」


しみじみとそんなことを思った彼は、無線に口を近づけた


「……奴さんら、ここまで来おったで」
























司令室は騒然となっていた


《我、救援を所望す!!》

「!!何!?」


ようやく見つかったバイシャナからの通信を開いた途端
その展示室に居たバイシャナから救援要請が出たのだ
入江は血相を変えた


「敵か!?もう展示室にまで来ているのか!?バイシャナ…」


しかしすぐに画面が砂嵐となる
手塚が唇を噛んだ


「ニゲラはどうした!!」

「ハッ。未だ連絡がありません」

「謙也も弦一郎たちも時間がかかるぞ」

「幻騎士殿もまだ……あっ」

「どうした?」

「まずいです!!この地点には現在味方がおりません!!」

「なんだって!!」

「「入江様…!!」」

「……まずいな」

「このままでは奴らが研究所に!!」


入江は歯を噛み締めて険しい表情をした
手塚はジッと入江を見る

すると、入江は何かを決めたように目を据わらせた


「………手塚くん。ついて来てくれるかい?」

「…………ああ。分かった」

「入江様!?」

「何を…」


チェルベッロの問いに答えず、入江はさっと身を翻した
手塚がそれについていく
チェルベッロも慌てて追いかけた


「入江……何をするつもりだ」

「手塚君にはまだ話してなかったね……僕の匣を起動させる」

「!!」


驚いて目を見開く手塚
追いついたチェルベッロが口を開く


「入江様!」

「アレを使われるのですか?」

「何か問題があるかい?」

「この機密を知るのは白蘭様と桜様と我々と入江様のみ」

「これを行えば他の部隊…
特にブラックスペルからの抗議は必至です」


どこか小部屋に入り、入江は壁に手をついた
声には少しの迷いも無い


「そんなもの、何もせずに失うものよりずっと小さい」

「それと後付けで設置された基地機能はマヒするでしょう」

「君達は…反対なのかい?」


壁の内側の細い通路を通る入江の言葉に手塚は黙った
何をするのか見当もつかないのだからそれは当然だった
手塚はただ彼について行くだけだ
入江も気にした様子は無い

チェルベッロは淡々と答える


「いいえ」

「私達には入江様の命令が全てです」

「…………………」

「社交辞令でもうれしいよ」


細い通路からまた壁に行きあたり手をつく

するとそれは現れた

右手側には匣、左手側には丸い球体がある台座
目の前には巨大なスクリーン


「(これは………)」


手塚は目を瞠った



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