夜空を纏う四ノ姫3

□匣、メローネ基地
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桜と跡部はひたすら歩いていた
目的地は研究所のはずだったのだが、いつの間にかずれている気がしてならない
跡部が怪訝な顔をする


「おい、どこに向かってんだ、桜」

『……………ちょっとね』


先程から問いかけても、全く取り合わない桜
跡部に苛立ちが募る
すると、何かが聞こえてきた


「白い装置は………こっちか?」

「ああ。ここを真っ直ぐなはずだ」

「(この声は………)」


跡部は思わず目を瞠る
そして気付いた。誰がいるのかを
桜を見れば、彼女は口端を上げていた


「………成程な」

『タイミングばっちりでしょう?』

「ああ。全くだ」


彼等は目の前の扉に向かっていた
そこは丸い装置がある入江の研究室
なら、そこに行かせるわけにはいかない
跡部はフッと笑って髪を掻き上げた






「ネズミが随分と中まで入り込んだみてぇだな、アーン?」






『まぁ、全くの無傷とは、いかなかったみたいだけどね』






「「「!!!」」」






桜と跡部の声に、弾かれたように振り向く彼ら
ボンゴレファミリーの嵐、雨、晴の守護者と門外顧問の女



「桜………」

「お前……」


獄寺と山本が苦痛の表情を浮かべる
山本に背負われているラルは意識を失っているようで反応は無い
その中で、了平だけは冷静だった


「……桜。こんな所で会うとはな」

『全くね。久しぶりね笹川了平』

「………ああ。隣の奴はお前の副官、跡部景吾か」

「俺の事も調べてんのか。まぁ当然だな
俺様の事を知らねぇなんざモグリもいいところだ」


跡部の言いように桜は軽く肩を竦めた
どこでも変わらない男だ
剣呑な了平の目が桜を射抜く


「………桜
お前とは一度拳を交えねばと思っていた所だ」

『別にかまわないわ。ただその一度が、



貴方たちにとって最後になるだけよ



凄絶に微笑み、桜は手を握り締めた
指にはマーレリングが光る


『ボンゴレリングも回収しないといけないしね』


しかしその時、大きな地震が基地内を襲った


「何だ!?」

「くっ」


倒れそうになる桜の体を跡部が支える
跡部の腕を掴んだ桜はぽつりと呟いた


『タイミングばっちりだと思ったけど、最悪の間違いだったわ』

「あ?」

『………正一の莫迦……アレを使ったのね……………』


桜は面白くなさそうに呟いた




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