夜空を纏う四ノ姫3

□匣、メローネ基地
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『そう………ええ、分かったわ』


軽く返事を返して、桜は無線を切った
回りを見回していたアイリスが桜を向く


「んで、今用水路で爆発が起きてんだって?」

『ええ。国光からはそう来てる』


アイリスはニヤッと笑った
桜の肩を叩く


「なら、もうすぐ桜の憂いもなくなるねぇ」

『そうだといいわ』


フフッと笑った桜にアイリスは更に笑う
そして足を向ける方向を桜と変えた


『アイリス?』

「ここに跡部って奴が来るんだろ?
桜には悪いけど、あいつらとあんまウマが合わなくてね
別行動させてもらうよ」

『そう………ごめんなさい』

「桜が謝る事じゃないよ」


そう言って軽く手を振るアイリスの姿が見えなくなった

その途端、まるで示し合わせたかのように跡部が現れた
桜は曖昧に笑って彼を迎えた


「……どうした?」

『何でもないわ……』

「そう…か。妖花はどうした?」

『貴方たちとはウマが合わないそうよ』

「………そうか」


複雑そうな顔をした跡部は、表情を切り変えて桜を見た
瞬時に空気を変える


「それで、俺達はどこに向かう」

『そうね…………』


その時、桜の無線にまたしても通信が入った
























司令室には絶えず緊迫した空気が流れていた
手塚はモニターを睨みつけたままの入江にペットボトルを渡す


「ずっと声を出していたんだ。疲れただろう」

「ありがとう、手塚君。君も無理をせずに休んでくれ」

「大丈夫だ。俺は慣れている」


そう言い、手塚もまたパソコンに向かった
その手はひっきりなしに動いている

すると、チェルベッロが入江と手塚の背後に現れた


「入江様」

「桜様とも通信で話し合い、
現状の把握と対策シミュレーションが完了しました」

「ごくろう。桜は今どこに?」


アイリスと一緒にいた通信が入って以来彼女はこちらに帰ってきていない
跡部と合流してはいるが、彼女がどこにいるかは全く掴めていなかった


「どうやら基地内を捜索しているようです
ですが入江様の命令があれば従うと仰っていました」

「そうか。ではまず話し合いの内容を教えてくれ」


チェルベッロは脇に抱えていた、小型のモニターを見ながら答えた
手塚も手を止めてそれを見る




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