頂を目指す二ノ姫X

□氷帝の黄金ペア
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翌日

コートに並ぶ彼らを見て、桜は腕を組んだ
今の青学に、氷帝の最強ダブルス
そこまで上り詰めたあの2人に勝てるダブルスはいないかもしれない
それでも


『(ダブルスの無限の可能性を見せてくれると言った、2人に託すしかない)』



「《これより青学VS氷帝の準々決勝を再開します!!
青春学園菊丸・大石ペア!!氷帝学園宍戸・鳳ペア!!》」



菊丸からのサーブで、試合が始まった















その後、青学VS氷帝ダスルス1は白熱した展開になっていた



「《ゲーム青学 3−3!!》」


『(何とか追いついたわね……でも中々……)』

「スゲェーお互い一歩も引かねぇ!!」

「ダブルスの頂上対決だ!!」


人差し指にラケットを乗せて器用にバランスを取りながら、
宍戸は大石に視線を向ける


「大石のヤロウ
わざわざ再登録して出てくるだけの事はあるじゃねーか」

「やりますね」


もともと、大石はまだ試合に出すつもりはなかった
それは手首の怪我を懸念してでもあるし、
その間の菊丸とのダブルスのブランクの為でもある

だが、大石本人に懇願され、桜は彼を試合に出すことに決めた


『(それが吉と出るか凶と出るかは分からないけど…)』

「!」


手を握りしめた桜は大石と菊丸を見た
彼らはオーストラリアンフォーメーションの形になっていた


「英二…一気に流れを掴んでいこう」

「OK♪ここで突き放そうぜ!」

「……しゃらくせえ」


それを見ていた宍戸と鳳は驚きの行動に出た
2人ともがサービスラインまで下がっていたのだ
鳳の前で宍戸が構える
その陣形に桜は首を傾げた


『………どういうつもりかしら』

「あれじゃ前も右サイドもガラ空きじゃん!?」

「何やらかすつもりだ…」

「(奇策にあえて奇策をぶつける事で混乱させるつもりか
そうはさせない!!)」

「どらぁ!!」


大石の冷静なサーブを宍戸が返した
走りながら大石が菊丸に声をかける


「英二っストレートだ!!」

「だいじょーV!!」


大石にそう返し、菊丸がネットの前でジャンプした
身体を軽く捻る


「…残念、無念…」


しかしすかさず宍戸が走り込んできた
それを見て菊丸は考える


「(ネット際は塞がれた!!)」

『(ロブかクロス…
でもロブを打てば長太郎に打たれるから英二は恐らくクロスに打つ……でも)』

「(クロスへ!!)」


桜の予想した通り、菊丸がクロスへとボールを打ち返した
しかし、それを2人は待っていたのだ


「そこへ打つしかねーんだよ!」

「鳳っ!?」

「(動く事によって敵の選択肢を無くし、
打つべきコースを限定させる誘導型の陣形です
これがオーストラリアンフォーメーション封じ!)」


まさしく彼らの狙い通りの展開だ
しかし桜は、それと同時に動き出した男に口角を上げた


『うまい作戦だけど……秀一郎には敵わないかな』

「(よ、読まれた…!?)」

「(やっぱコイツだけは…出し抜けねーよな!!)」


ラケットがコートをこする音
ボールの行き先には大石がいた



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