「……チ……クショ………」
コートに倒れ込む自分の、なんと無様な事か
自分が情けなくて、宍戸は顔を腕で覆った
すると、跡部が言う
「バーカ。てめぇはもう終わってんだよ」
グッと宍戸の喉が締まる
しかし、跡部は続けてこう言った
「……ただダブルスでなら、てめぇの努力報われるかもな」
視線の先、そこには鳳がいた
跡部の思ってもいなかった言葉に宍戸は呆然とする
跡部はクルッと踵を返し、おもむろに言った
「……桜が言ってたぜ
てめぇはきっと戻ってくるってな」
彼にはきっと、心強いパートナーが出来る
だから心配ないわ。強くなって戻って来る
「!」
「それを聞いた時、俺様は確信した
宍戸、てめぇにこの先シングルスでの未来はない
だが、ダブルスなら道があると
てめぇがダブルスに転向するなら、氷帝で生き残れる可能性があると」
「……ダブルス…」
「だが、ただ誰かと組んで試合をすればいいってもんじゃねぇ
お前と相性がよく、かつ勝利を掴めるパートナーが鳳だと思ったのは俺様の勘だ
桜が言った心強いパートナーがあいつじゃねぇかもしれねぇ
だが、最終的にレギュラーに戻って来れるかどうかはてめぇ次第だ」
「!!」
跡部は最後に宍戸に視線だけを向けて、口角を上げた
「ま、せいぜい頑張るなら頑張るんだな」
それが彼なりの激励だったことに気づき、
宍戸は思わず空に向かって盛大に笑った