頂を目指す二ノ姫X

□氷帝の黄金ペア
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大雨の降りしきる中での手塚の勝利に青学は沸き立った
桜は向かって来た手塚にジャージをかける
すると頭に掌の感触がした


『国光?』

「ずぶ濡れだぞ。風邪をひくだろう」

『あら、大丈夫よ』

「…ダメだ」

「手塚、タオル」

「すまない」


大石からタオルを受け取り、それを桜の頭に乗せた
慌てて取ろうとする桜の手を手塚が押さえつける


『ちょっと…』

「ないよりマシだ」


梃子でも動かない構えの手塚に桜は早々に諦めた
息を吐いて思案するように審判を見る


「…どうだろうな」

『そうねぇ。審判団も慌ただしくなってきたし
顧問も呼ばれたし』


審判団と話すスミレと榊
雨は一向にやむ気配を見せなかった

しかし、コートにその2人はいた






「次ぃ――っコートに入れや!!」






「宍戸っ!?」





「鳳!?」






氷帝コールは鳴りやまない
頭上のタオルも早速意味をなさないほど濡れ、重くなっている

ほどなくして、審判団から告げられた宣告は



「《青春学園VS氷帝学園の準々決勝
只今をもちまして…雨による一時停止試合(サスペンデッドゲーム)とします!!


なお試合の続きは明朝9時から行います――以上!》」




その宣告に宍戸は不満を隠さずに言った


「おいおい出来んだろこんぐらいの雨ならよ!!」


舌打ちをして肩を落とす
試合がしたくてたまらない様子だ


「コンディションばっちしなのによ。激ダサだぜ!」

「いいですよ宍戸さん
楽しみは明日に取っておきましょうよ。それに」


チラッと桜を見て鳳が笑った


「このまま雨に濡れっぱなしじゃ桜さんが風邪引いちゃいますからね」

「ん?ああ、そうだな。女が体冷やすもんじゃねーしな」

『……お気遣いありがと』

「行くぞ!」


戸惑いがちに笑う桜に手を振り、宍戸と鳳はコートから出た
跡部たちはラケットバックを背負い出口へと向かう
手塚と桜の横を通り過ぎる瞬間、跡部が笑った


「勝つのは俺達氷帝だ
明日まで生かしといてやる
雨に………助けられたな」


無言で歩いていく氷帝
その先に、いつの間に離れていたのか
リョーマがいつもと変わらぬ生意気な目つきで立っていた





「いーよやろうよ!」





『(……まったくリョーマは)』


桜は呆れた表情で息を吐いた
少し驚いた顔をした跡部たちはそのままリョーマの横を通り過ぎようとする


「それとも逃げ……」

「口の減らないルーキーだ」


ラケットでリョーマの頭を軽く叩いた跡部たちは、そう言ってそのまま去って行った



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