夜空を纏う四ノ姫3

□目指した先
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「オレ達の味方だって!?」

「う…うん。正確には僕たち、だけど……そうなんだ…」


突然のカミングアウトにツナ達は呆気にとられた
困惑するツナたちに不二が柔和な笑みを浮かべる


「驚くのも無理はないよ。だけど本当の事なんだ」

「普段、入江や俺達の行動は部下と監視カメラによって24時間白蘭につつぬけになっていた」

「けど君達が全てをメチャクチャにしてくれたおかげで
やっとこうしてミルフィオーレでの立場を気にせずに話せるよ…」


心底疲れたというように、入江は息を吐き出した


「ずっとこの時を待ってたんだよ…


この基地でのこの状況での出会い方こそが、僕らの設定したゴールだったんだから」


「!?ゴール…?」

「な…何言ってやがる!!」

「だからよ、これは入江の計画だったってわけ」

「計画?」


赤也が呆れたように頭を掻きながら言った
ツナがオウム返しに訊けば謙也が頷く


「そうや
自分らがボンゴレリングのためにミルフィオーレにこの時代に連れて来られたんは事実や」

「けど君達がこの時代に来てから入江君を標的にしてここに乗り込むようにさせたのは、
彼がミルフィオーレに秘密で仕組んだ計画だったんだ」


不二が柔らかい笑みを浮かべてそう説明した
手塚が入江に手を貸して彼を立たせる
フゥ、と立ち上がった入江はツナを真っ直ぐに見て言った






「うん。君達を鍛えて、強くなってもらうためにね」






「「「!!」」」


入江は頭をぐしゃっと掻いた
その表情には先程の冷酷さは無く、どこか後ろめたさがあった


「たくさんひどいことをして…本当にゴメン…
でもこれから来る戦いに備え、短時間に飛躍的な成長をしてもらうには、

この方法しかなかったんだ!!」

「これから来る戦い…?」

「そうだ!!君達の本当の敵は僕じゃない」


入江の言いように獄寺が憤慨していきり立った


「ふざけんな!!作り話に決まってるぜ!!
てめーがやばくなってきたんでオレ達を丸め込もうってんだな!!」

「獄寺の言う通りだ!!そんな話信じられるか!!」

「ちょい待ち」

「そう、考えてみなよ」


謙也と不二が遮り、入江が拳を握りしめた
手塚は腕を組み、赤也は集中力が切れたのかあらぬ方を見ていた


「君達を殺そうと思えばもっと早く殺せたさ!!」

「「「!」」」

「いくらミルフィオーレが油断していたとしても天と地ほどの戦力差だ
お前達を一緒にではなく何人かずつこの時代のお前達と入れ替えたのも、
この時代のお前達に過去のお前達を導いてもらうためだ」

「ああ
この基地に来てからも僕がもっと早く基地を動かして君達を捕えることもできた
だがそれでは君達が経験を積むことができないからワザとモタついて遅らせたんだ!!」

「まぁそれも全部が全部ワザとじゃないよね」

「……まぁね」


不二に指摘された入江は罰が悪そうに顔を背けた
しかし眼鏡を押し上げ何とか持ち直して続ける


「それだけじゃない
守護者でないイーピン・笹川京子・三浦ハルまでを
過去からこの時代に連れてきたのはなぜだかわかるかい?」


その問いにツナは答えられなかった
入江は吐き出すように言う


「人は守るものがあると強くなれる
そのために必要だと判断したんだ。現に…」


それを聞いた瞬間ツナは入江の胸倉を掴んだ
手塚と不二の表情が険しくなる


「そんな…!!そんな理由で!!
もし京子ちゃん達に何かあったらどーするんだ!!」


仲間を大事にするツナらしい叫びが木霊する
赤也と謙也の表情が歪んだ


「京子ちゃん達だけじゃない!!
鍛えられる前に山本や獄寺君やラル…
みんなこの戦闘で死んでたかもしれないんだぞ!!」

「………強引なやり方だったとは思う。だが」

「……………その場合は…それで仕方ないんだよ…」


手塚がツナの拳に手を当て言うが、入江がそれを遮った
眼を吊り上げる彼等に入江は体を震わせて唸った


「僕だって一生懸命やってるよ!!
予想外のこととか起きるし桜のことだってあるし大変だったんだぞ!!」

「うん。これは君達が思ってるほど小さな問題じゃないんだよ」

「それにこの計画はこの時代の君の意志でもあるんだ、綱吉君!!」

「!!オレの…!?」


唐突な言葉にツナは固まった
入江は息を荒くしてツナを見下ろす



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