夜空を纏う四ノ姫3

□ヴァリアーのボス
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―――――
―――


桜はトントンと指で頬を突きながらジーッとそれを見つめていた
跡部が怪訝な顔をして桜を見下す


「どうした?」

『…………ええ
ザンザスの匣が天空嵐ライガー(リグレ・テンペスタ・デイ・チエーリ)だって事は分かったわ』

「ああ。ライオンとトラの雑種やな」


ザンザスは世にも珍しい匣を持っていた
それが天空嵐ライガー
ザンザスの周りをうろついていた影はこれだったのだ

最初は天空ライオンだと思われていた
だがそれはタイガーパターンを持っていたのだ

つまりはライオンのオスとトラのメスの異種交配によって生まれたライガーだったのだ
本来大空のライオンシリーズはコピー不能とまで呼ばれるもの
それがさらに雑種などとは珍しいにもほどがある


「で、何をそんなに考えてるの?」

『うん……それでも2つの属性を持つ匣になるのかしらって……
ザンザスが例え嵐の属性を持っているのだとしても
一つのリングは一つの炎しか灯せない。夜でもない限り』


大空の特性は調和

嵐の特性は破壊


オルゲルトの巨雨象の攻撃を防いだのは天空嵐ライガーだ
その防ぎ方は、石化ののち崩壊


「崩壊は嵐の特徴だろうが、石化はなんだろうな」

「ククッ。桜と景ちゃんでも分からないかぁ」


至極楽しそうに白蘭は言った
桜はさらに目を細めて画面をじっと見る


『………石化……石………!!分かった』

「おっ。流石。でも何でそんなに知りたがったの?」

『………もう嫌なのよ』


そう言った桜は目を閉じて静かに言った


『分からない事をそのままにしておくのは』


跡部と白石は憂いの目で桜を見た























「次にこいつが開匣された時がてめーらの最後だ
だが死に様ぐらい選ばせてやる
楽に死にたければ白蘭のカスと桜をここへ呼べ」


そう言って、ザンザスは肘掛に匣を置き、腕を組んで目を瞑った

余裕なザンザスだが、しかし彼の周りはジルの嵐コウモリが固め始めていた
その為ジルもまた余裕の表情を崩さなかった


「よーく考えてみろ
わざわざお前ごときに白蘭様がお動きになると思うのか?
………と言いたいところだが、お前は運のいい男だ
ちょうど白蘭様への定時報告の時間だ
特別に白蘭様と話をつけてやらないでもないぜ…」


その間に、嵐コウモリがザンザスを取り囲んだ
ジルは内心ほくそ笑んで口を開く


「もちろん話す内容は――――――






おまえの死についてだ!!!






その瞬間嵐コウモリが嵐の炎を放射した
意表を突いた絶対的な確信のもと高笑いをするジル

しかし嵐コウモリは撃ち落とされた
ザンザスが両手に持つ二丁の銃によって


「…………交渉決裂だな…………それ相応の死をくれてやる」

「オルゲルト。なーにつっ立ってんだ!!
さっさと体張って盾になれよ!!」

「無論です!!」


そう言ってオルゲルトが開匣したのは雨ペリカン
羽を広げて盾となる



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