夜空を纏う四ノ姫3

□ヴァリアーのボス
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「笑止」


ザンザスは匣に炎を注ぎ込んだ
その炎は純粋な大空の炎ではなく、ザンザスの持つ憤怒の炎が混じっていた
それが天空嵐ライガーの秘密だった
ペリカンとオルゲルトは石化し、崩壊した


「あ…足が…!!」


防ぎきれず、ジルの足が石化していた
慌ててイスを捨てるジル


「おいドカス。王子は座したまま戦うんじゃなかったのか?」

「くっ(ム…ムリだ!!勝ち目がねぇ!!)」


そう悟ったジルはザンザスに叫ぶ


「おっ落ち着け!!白蘭様と話をつけてやる!!
お前の望みはわかってるんだ!!






お前が欲しいのはボンゴレボスの座なんだろ!?






その言葉にザンザスは反応を示した


「お前沢田綱吉のこと憎くてしょーがないんだろ?
だから今は亡き9代目直属なんて謳ってる!!
そりゃそーだ!!ボンゴレ10代目の座を奪われたんだからな!!」


ラジエルは恐怖のあまりか矢継ぎ早にザンザスに言う


「オレの力をもってすれば憎き沢田を倒しお前がボンゴレのボスになれるぜ!!
正確にはミルフィオーレボンゴレ支部だ!!
オレが白蘭様にお前をミルフィオーレ幹部として迎えるようとりはからってやる!!





白蘭様は寛大な方だ!!





沢田綱吉を倒した後は今のボンゴレと同等!
いや、それ以上の戦力を手に入れることも夢じゃねーぜ
しかもミルフィオーレとなれば桜も仲間として歓迎するだろう!!
しししどーだ!!最高だろ!!」


そう言いきったラジエルを、ザンザスは切り捨てた
その声音に少しの揺らぎもない


「ドガスが
オレが欲しいのは最強のボンゴレだけだ
カスの下につくなどよりヘドがでる

それに桜に仲間に見てもらう必要はない
あいつはオレの大事な女だ
何をしようがあいつは今でもオレの隣にふさわしい女だ
あいつが何を思ってこんなことをしでかしやがったかは知らねぇが、
ミルフィオーレにくみするなら一回叩きのめしてでも目を覚まさせてやるだけだ」


ザンザスはそう言い、目を閉じた
脳裏には自分を心配する彼女の顔

そして、優しい彼女の笑顔があった

彼女はボンゴレを、沢田綱吉を、ヴァリアーを、大事に思っていたはずだ
だからこそ、


「10年前の沢田綱吉を生かしているのも殺せねえからじゃねぇ
ボンゴレファミリーは最強でなくてはならないからだ」


全身が石化していく中でジルはザンザスの言葉の疑問を持つ


「内部にどのような抗争があろうと、
外部のドカスによる攻撃を受けた非常時においては――――ボンゴレは常に…








一つ!!!









最早喋ることさえできなくなったジルに、ザンザスは引き金を引いた























…―――


「だってさ、桜」


ジルの無線機と映像から会話を聞いていた白蘭は桜に笑顔を向けた
跡部と白石も静かに彼女を見つめる
桜は不快そうに眉を顰めていて、それを見て白蘭は満足したように笑みを深くした

桜は布団にしわが出来るほど握りしめ、物騒なほど低い声を零した


『……何…勝手なことを言ってるのかしら………
どいつもこいつも煩わしいわね……』


底冷えするほどの冷めた目がモニターを貫く
跡部は歯を噛みしめた


『……ザンザス如きに私がやられるわけないじゃない………
見くびられたものね……』

「(やっぱり、桜はいい子だね)」

「(桜………)」


白蘭は桜の髪をすきながらそう思って笑い、
それを白石が複雑な表情で見ていた




→Un afterword
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