夜空を纏う四ノ姫3

□次なる道
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大空の属性と同じ、オレンジ色の匣
ボンゴレの紋章が入ったそれを、ツナは凝視した


「(俺の…俺の初めての匣兵器…)」

「だが、今はまだ、それを使うことは出来ない」

「えっ」

「どういうことだテメー」


獄寺が入江に叫ぶ
手塚はジッとその匣を見ていた


「君の大空のボンゴレリングでは、まだその匣を開けられない
君のリングでその匣を開匣するためには、アルコバレーノの8つの印が必要なんだ」

「………」

「アルコバレーノの…」

「8つの印?」

「そうか…」


するとリボーンが納得したように呟いた
目を伏せていて、その表情は伺えない


「ザンザスとのリング争奪戦に勝利したツナは、
正式にボンゴレの次期後継者と認められた…」


しかしそれっきり口を噤んだ
ツナが問いかけても口を開かない
それを山本と不二が複雑な表情で見ていた
何を言っても黙ってしまったリボーンから視線を入江に移し、ツナは訊いた


「それで、アルコバレーノの8つの印が必要って、どういうことなんですか?」

「…君たちが持つ7つの、いや8つのボンゴレリング
そしてアルコバレーノの8つのおしゃぶり、8つのマーレリング
+1を形成するこれらの要素は切っても切れない深い関係がある」

「そして、アルコバレーノは7を守ることを使命として身を捧げた者たちだ」

「だからこそ、ボンゴレリングの真の力を引き出すためには
アルコバレーノの8つの印をもらわないといけないんだ」


すると、リボーンが眉を顰めて入江を見た


「だが入江。アルコバレーノに夜はいないぞ」

「えっ!!」


ツナがリボーンを見下ろした
全員の目がリボーンに注がれる


「他にも欠番がいるが、そっちはなんとかなるだろ
だが、夜のアルコバレーノは存在がない。どうするんだ?」

「うん。それなんだけど」

「心配はいらないよ」

「!」


入江の言葉を遮り、不二が言った
手塚が静かな目をしてリボーンを、ツナを見た


「夜の存在は大空のアルコバレーノに聞くといい」

「えっ。大空の…アルコバレーノ?」

「どういうことだ?」

「そのままの意味だよ
夜は大空の管理下に置かれている
そう聞いてるだろ?」

「……………」


不二の言葉にリボーンが目を細めた
入江を見れば、入江も頷いている


「手塚くんと不二くんの言うとおりだ
大空のアルコバレーノが知ってるし、大丈夫だ」

「………そうか」

「で、でもこの時代じゃリボーン以外のアルコバレーノはもう……」


ツナが視線を泳がせて言うと、入江がああ、と頷いた


「だから、それを得るために……」

「得るために?」







「君たちには、いったん10年前に戻ってもらう」







「10年前に、戻れるの!?」







ツナは驚いて声を張り上げた
力強く頷いた入江は声を強めた


「そこでアルコバレーノの試練に打ち勝ち
8つの印を手に入れなければならないんだ」

「!?」

「アルコバレーノの…試練?」

「どういうこと?」


聞き返すツナだが、入江はすぐには答えなかった


「まずは君たちを10年前に帰すことが最優先だ
詳しくは、その準備が全部整ってから話すよ
その間君たちは一度アジトに戻ってくるといい」


ツナは入江の言葉に怪訝な顔をした
手塚が重々しく口を開く


「あくまで一時的にということだ」

「そして、タイムトラベルをしてきたメンバーを連れて、またここに戻ってきてくれ」

「タイムトラベルしたメンバーって、京子ちゃんやハルたちも?」

「もちろん彼女たちも一緒だ」

「お前たちと行動を共にしてもらわないといけない」

「じゃあ、京子ちゃんたちを過去に帰すことが出来るんだね」


そう嬉しそうなツナに、入江は言いずらそうに口を動かした
がなかなか開けない
手塚がそれを横目で見て息を吐いた




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