頂を目指す二ノ姫X

□王様と王子様
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遂にシングルス1

覚醒していたジローがぴょんとラケットを持って立ち上がった


「ようし!ウレC―ッ!なんか俺もうワックワックだぁ―――っ!!」

「どいてろジロー」

「やっぱC〜〜テヘ」


シングルス1に、彼が出ないなんてことはないだろう
桜は悠然と立ち上がり、声援を一身に受けるその男を見た


『はぁ……相変わらずねぇ』


その声すらも、そのコールの中に掻き消える


「勝つのは氷帝!!」

「負けるの青学!!」

「勝つのは氷帝!!」

「負けるの青学!!」

「勝つのは氷帝!!」

「勝つのは氷帝っ」

「負けるの青学!!」

「勝者は跡部!!」

「勝者は跡部!!」

「勝者は跡部!!」

「勝者は跡部!!」

「勝者は…」







「俺だけどね…」







コールを終わらせた跡部がジャージを脱ぎ捨てる前にリョーマがジャージを宙に放り投げた
そして不敵に笑いふてぶてしく言う


「やーっとアンタと戦える日が来たよ





サル山の大将さん!





生意気な目をして言ったリョーマがコートに入る……
前に桜がニッコリと微笑んでリョーマを呼んだ


『ジャージこのままで行く気?』

「……スイマセン」


せかせかとジャージを拾いに走るリョーマに跡部は何とも言えない顔をした
まるで親子のようだ


「(……つーか、力関係は相変わらずだな)」


彼女の一声で部員が動く。その影響力は凄まじい

ジャージを拾い、おずおずと差し出してきたリョーマの頭を桜が軽く叩く


『きっと苦戦すると思うわ。景吾は強いわよ』

「……っスね…けど、俺が勝つっスよ」

『…………うん。行っておいで』


ジャージを受け取った桜はリョーマの背中を押し出した
ネットを介して相対した跡部とリョーマは、互いの顔を見るなり笑い出した


「ククク…」

「ククク…」

「フフフフ……」

「フフフフ……」

「ハァーッハッハ」

「ハァーッハッハッ」







「「ハァーッハッハッ!!」」







『うわぁ………何あれ…』

「……桜……その顔はやめろ」


思いきり引きましたという顔をする桜に手塚が自分の額を押さえた
桜は表情を戻したが、2人の言葉の応酬に口元を引きつらせた





「王子様だか何だか知らねーが…俺がキングだ!!」

「アンタ口だけじゃん。ホント強いの?」

「あーん。ナマ言うんじゃねーよ」

「後悔しないよーに」

「俺様に勝ってから言ってみろ」


「………凄いね…あの2人……」

『ある意味似た者同士よね』


唖然とする河村に桜も乾いた笑い声を零す



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