夜空を纏う四ノ姫3

□仲間の元へ
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「………なら、次の質問だぞ
さっき桜に助けられたって言ってたが、
それと同じことを言っていた奴らがいた」

「宍戸亮や越前リョーマたちやな?」

「……やっぱり、お前らも………」


リボーンがそう言えば、手塚はああ、と首を縦に振った


「あいつらとは仲間だった」

「だけど、あの3人は未来に来てないよ」

「?」


首を傾げるツナだが、リボーンも怪訝な顔をした


「3人?」

「宍戸亮、越前リョーマ、日吉若の3人だ」

「ちょっと待て
幸村精市や木手永四郎
それから不二。お前と苗字が同じ不二裕太と
謙也と同じ苗字の忍足侑士もいるだろう」

「ああ。その説明もしないとね。まず、裕太は僕の弟なんだ」

「それじゃあ、裕太が言ってた兄貴ってのは」


山本がハッとして不二を見て、不二はにっこりと笑った


「僕のことだね」

「俺は侑士とは従兄弟なんや」

「じゃあやっぱり、忍足さんがあの時言ってたことはこの人のことなんだ」


ツナは納得したように謙也を見た
すると入江が口を開いた


「ちょっと待ってくれ
裕太くんも木手くんも、幸村くんも忍足くんも今はミルフィオーレに」

「え!!!」

「なんと!!」

「そうだ。10年前からこの世界に来て
あいつらもミルフィオーレに、桜のためにいる」

「もっとも、4人とも今どこにいるかもわかってないんだけど……」


不二の表情が暗くなった
そして手塚がリボーンを見下した


「過去に残った3人はここでの出来事を一切知らない
あいつらは過去の時代の桜をサポートするためにいるんだ
その為10年前の桜に悟られないように、俺達はあいつらと別れたんだ」

「だから、未来に帰っても絶対に、この事は言わないでほしい」

「…………」

「……それじゃあ最後の質問だぞ
10年後のお前たちは一体どうしたんだ?」


すると不二は白い装置を見上げた
その横顔に、ツナはドキッとした
寂しげで、儚げだったのだ


「……沢田くんたちは粒子となってここにいるね
10年前の世界で10年後の君達が動くことがないように」

「あ、うん」


入江が頷けば、手塚が静かに言った


「10年後の俺達は…………この世界にはいない」

「………………」


リボーンは、ジッと手塚の顔を見上げた
手塚も真っ直ぐリボーンを見下ろす
しばらくの間そうしていると、リボーンが目を伏せた


「………そうか」

「(…………この世界にはいない……って……
まさか………死んで………?)」


ツナはハッとして拳を握った
ふぅ、と息を吐いた手塚は顔を上げた


「これで、俺達に話せることはすべて話した
これ以上の事を俺達は話せない」


手塚の静かな目がツナとリボーンに向けられる
しかし獄寺が苛立ったように言った


「って、これだけかよ!」

「……まだ納得のいかない部分が多い気がしますが」

「…………」


しかし、もう語る気はないのだろう
手塚たちは動かなかった
リボーンはツナを見上げた


「…………で、どうするんだ」

「え?」

「こいつらの話を信じるのか?
この説明じゃかなり穴だらけで信憑性はねーが」

「また俺かよ!」

「当たり前だろ。何度も言わせんな!」

「ギャッ!!」


ツナはリボーンに脇腹を蹴られ、悲鳴を上げた
地面に倒れこんだツナを獄寺が支える

ツナは、静かな手塚たちと入江を交互に見た


「……はっきり言えば、なんというか怪しいというか………
それに10年前から来たっていうのも驚いたし……
桜のことも………あるし………」


だんだん小さくなっていくツナの声
だが、ツナはぎゅっと手を握った


「でも、手塚さんたちも、すごい頑張ってくれてたんだ
桜のことは気になるけど、でも、なんとかしなくちゃいけないし……
だから、これからも色々手伝ってください!」

「「「「!!!」」」」


ツナの真剣な目に、手塚たちはハッとした
そして、


「ああ。すまない。よろしく頼む」


手塚が小さく口角を上げ、手を差し伸べた
それにツナが掴まり、堅く握手をした


「……いつか、すべてを話せるように努力する」

「…はいっ」


手塚の言葉にツナは明るく笑った



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