夜空を纏う四ノ姫2

□10年前
2ページ/4ページ




並中の屋上

ヒバードがのびのびと並中校歌を歌っていた
柵に腕を置く雲雀の肩に乗る

すると屋上のドアが開いた


「オス。並盛中、本日も異常ありません」


そう言ったのは草壁だ
いつも通りの見回りの報告である
だが彼の姿を視界に入れた雲雀は草壁に鋭い眼光を向ける
そして突然トンファーを振り上げた
トンファーは草壁に激突し、草壁は吹っ飛んだ
雲雀が淡々と言う


「僕に意見したからね。20年早いよ。副委員長」

「な、はぁ……」

「今度やったら咬み殺す」

「は…はぁ…」


何の事だか今の草壁には分かるはずもない
草壁は呆然と雲雀を見上げた


「……何やってんスか?」


そこに、呆れた顔の越前がやって来た
倒れこむ草壁を見下ろす


「……何かあったんスか?」

「………いや、気にするな」


草壁の態度に越前は首を傾げる
だが気にするなと言われたからにはこれ以上の詮索は無用だろう
そう考えて、ところで、と雲雀を見た


「さっき商店街で沢田たちを見ましたけど、見つかったんスね」

「……………」


その問いに答えず、雲雀は越前の脇をすり抜けて行った
越前は何も言わずその後姿を一瞥した























獄寺は道路を歩きながら頭の後ろで腕を組み、つまらなそうに言った


「家でボーっとしてるだけってのも、退屈なもんだぜ………ん?」


その獄寺の前を、少年が横切った
獄寺は、その少年が誰なのか気づいた
10年前ではまだ中学生の、入江だった


「なあ―――!!」

「え…?あああ!え〜!!君何でいるのー!!」


獄寺に気づいた入江少年は顔を青くして叫んだ
獄寺も厳つい形相で叫び返す


「なんでもクソもねぇ!!」


拳を握りしめて近づく獄寺
それに入江は鞄を抱えて走り出した


「どうしているのーっ!!」

「…ケッ。情けねぇ奴」















―――――
―――



逃げ帰った入江は、母親へのあいさつもそこそこに自室に逃げ込んだ
しかし、扉を閉めて中を見た瞬間目を見開いた





「なんやえらい慌てて。なんかあったんか?」





「なっ……誰!?」







.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ