頂を目指す二ノ姫Ⅴ
□聖書ＶＳ天才
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不二は土壇場で１ゲーム返し、１－５
彼の目つきはいつもと変わっていた
「(流石やわ不二クン―――
さっきのゲームでの集中力と粘り、認めざるを得ぇへんな
せやかて完璧なるテニスに敗北は無いわ)」
すると、不二の構えを見て白石は目つきを変えた
あれはトリプルカウンターの１つ、つばめ返し
「それはもう効かへん言うたやん」
ギュオォォ
しかし、白石はそのボールを取ることが出来なかった
凄まじい回転によりボールが白石の横を通り過ぎる
「(何や今の打球は…………『つばめ返し』よりも遥かに手前で沈んだ)」
「トリプルカウンター『鳳凰返し』」
さらに、チャンスボールにより白石のスマッシュが放たれるが
『羆落とし……じゃないわね』
「(今度は何だ――――――)」
「トリプルカウンター『麒麟落とし』」
不二は頭上でラケットを両手に握り、面とコートが垂直になるように持っていた
羆落としとは全く違う構えだ。そして
「(こ、これも『白鯨』じゃないんか…！？)」
「トリプルカウンター『白龍』」
サービスラインに落ちたボールは白石の手元に帰って来ず
リョーマの手元に収まった
「《ゲーム不二２－５！！》」
『トリプルカウンターに再び息吹を吹き込んだのね……周助。それに…』
彼は、何かをしようとしている
それを白石も感じ取っていた
「(完成したテニスを見せる手塚の方がある程度戦い方は見える―――――
せやけどこの不二周助という男
何を仕掛けてくるのか、強さの底が全く見えへん
早いとこ決着つけさせて貰うわ)
遊びは終いや！！」
鋭い白石の打球
だが、不二は泰然と、ボールを待っていた
明らかに、雰囲気が変わっていた
「たった今出来たよ……」
「(ま、まさか信じられへん……
コイツは試合中に、この打ち合いの中で…)」
「いくよ…第５の返し球(ﾌｧｲﾅﾙｶｳﾝﾀｰ)」
ボールをラケットの端で捕えた不二は、ボールをガットに滑らせる
さらに、ラケットを裏返した
『まさかラケットの裏面を使っての…』
「２乗の超回転っ！！」
「ふっ！！」
「(ガットの上を滑らせボールに対し強制的に超回転を与え――
そして一瞬のうちに手首を返し、ラケットの反対側の面を使い更に回転を倍増させるとは
せやけど、軌道は丸見えや！！)」
その言葉通りに白石はボールを打ち返す
しかし不二は彼に背を向けていた
『！！』
「キミの打球はもうネットを超えないよ
これがファイナルカウンター…
『百腕巨人(ﾍｶﾄﾝｹｲﾙ)の門番』」
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