頂を目指す二ノ姫X

□お笑いテニス
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――青学(東京)VS四天宝寺(大阪)シングルス3
  勝者 白石蔵ノ介

四天宝寺部長、白石の勝利に会場が沸き立った
しかし周りの活気とは裏腹に、白石はどこか悔しそうに唇を噛んだ
巡り会えた好敵手と、最高の試合をして、自身の力で倒したかったのだ
だがその結果がどこか煮え切らないものだと感じてしまっていたのだ
あの一球はもしかしたら、自分の敗北を招いたのではないかとも思うのだ

だが、謙也は白石のそんな心情を見抜いてきっぱりと言った


「勝ったモン勝ちや」

「…………せやな…」


目を伏せ、白石はそう静かに言った

不二もまた、いつもとは違い悔しいという感情を表に出していた
桜が差し出したタオルを掴み、頭に乗せてベンチに座る
項垂れた様子の不二を、河村たちは遠巻きに見つめた


「は、初めて見た…こんなに悔しがる不二は」


明らかな変化だった
桜はそれをどこか微笑ましく思っていた
敗北を知り、悔しさを知った彼は、また強くなる
大石が彼の背中を撫でるのを見て肩を下す
そしてくるっと振り返り、2人の背中をトンと押した


『さぁ、貴方たちの番よ。心してかかりなさいね』

「オス!!」

「フシュゥゥゥゥゥゥ」


桃城と海堂が互いを横目で見てコートへと向かう
背後にいる不二に、思いを馳せて


「ぜってー負けらんねぇな」

「当たりめーだ」


「《続いて第2試合ダブルス2の試合を行います》」






「「いくぜぇ!!」」






気合十分の2人を見て、桜はハァ、と息を吐いた
心を落ち着かせるように、目を瞑る
その様子に菊丸が怪訝な顔をした


「どうしたんだよ桜〜」

「何か心配事か?まぁ、桃城と海堂だからな」


乾が生真面目に言うが、桜はうーん、と唸った
腕を組み、何やらゴソゴソしている四天宝寺を見る


『それよりもむしろ、自分の心配かしら』

「……自分の心配?」

『あの2人のダブルスは、出来れば見たくないのよね』

「そ、そんなにヤバい人たち何ですか?」

「桜が……ここまで言うなんて………」


その桃城と海堂の対戦相手は、思ってもみない奇抜な姿で登場した






「ほな」





「行くでぇ〜」






小春はアフロのかつら
一氏は目の部分を丸くくり抜いたマスクのような物
彼らはお互い肩を組んで桃城と海堂の前に立った
菊丸が呆気にとられた表情で指をさす


「あの2人が………そんなにヤバい相手なの?」

「え………」

『……………ええ』


桜は深刻な顔をして頷いた
これには青学一同唖然とした
それほど脅威には見えない

桃城は目の前の2人に顔を引きつらせて訊いた


「アンタ等何でさっきからずっと触り合ってるんすか?ま、まさかホ……」

「いいトコに気付いたわねボクゥ」

「ウッ…」


小春の視線に海堂までもが狼狽えた


「ウチらは監督の命令でな。離れたらアカンのや
ペアを組んでから私生活でも試合以外は一瞬たりとも離れた事は無いでぇ
常にくっついてる事でパートナーの次の動き、そして考えもが分かり始める――」

「そう。これぞまさに一心同体少女隊修行や!!」

「その幾多の苦難を乗り越えたウチらに敗北の文字はあらへんでぇ
せやな監督っ!?」

「えっ言うたっけか?」


「「え゙え゙っ――――!!」」




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