頂を目指す二ノ姫X

□東西の超ルーキー対決
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そう、ニコニコと遠山が言った
四天宝寺の面々は沈んだ表情を浮かべた


「金太郎さん……」

「金ちゃんスマンばいね。負けや!」

「ウソや〜〜第5試合。ワイとコシマエの試合残ってるやろ?」

「終いや」

「嫌や〜〜〜〜っ!!」


白石にきっぱり言われても、遠山は納得しなかった
指をリョーマにつき付け、宣言した


「ワイはやるでぇ!!コシマエ勝負やーっ!!」

『金ちゃん……』


桜は難しい顔をした
大石もリョーマを止める


「え、越前っ明日は決勝だ!無意味な試合でケガでもしたら…」

「ういーっス」

「あー待ちや。逃げるんかぁ。やろうなっなっ!」

「金太郎はん。来年まで辛抱しはりや…」

「アホウ来年まで長いわ〜銀」




「や、やってやれよ!」




すると、今までに聞いたことのない第三者の声がした
彼は観客席で、必死にリョーマに言った


「1球でいいからさ!なぁ!」

「おおっ平ちゃん!」

「コイツずーっと戦いたいヤツがいるって楽しみに!なぁ!
この会場まで富士山から走って来たんだぜぇ!!なぁ!」

「え〜〜っ富士山から!?」

「に、兄ちゃん…?」


遠山から平ちゃんと呼ばれたのは堀尾の身内だった
堀尾は必死に頼む彼と同じようにリョーマに頭を下げた
リョーマはそれを聞いて、目を向けた


「別に……1球だけならいいけど」

「!」

「コシマエおおきにっ!!」

「越前っ!?」





『まちなさい』





桜の声は決して大きくはない
だが、誰の耳にもはいるほど凛と空気を震わせた
全員が一瞬のうちに口を噤んだ
桜は大きく息を吐いてまず堀尾を見た


『あなたは学校へ戻ったらグラウンド10周よ』

「えっ!?」

『決勝が控えている選手に対して言うことじゃないわ。同じ学校の人間が』

「す、すいません……」


肩を落とした堀尾に仕方ないと苦笑すると、次にリョーマを見た
リョーマは真っ直ぐ桜を見つめ返した


『意味、分かってるの?』

「分かってるっス」

『そう。それじゃあ明日の決勝のオーダーから外していいのね?』

「「!!」」

「桜っ!?」

「桜先輩!!」


桜の発言に菊丸と桃城が声を張り上げた
リョーマは目を見開き硬直した
が、すっと表情をまじめなものにさせた


「……もし、シングルス1に回ってきてたら戦うんス。だから、1球だけ」

『…………そういうのも含めて試合でしょうに…まぁ、いいわ』


桜はリョーマの頭をポンと叩いて審判に何やら言いに行った。そして、


『1球だけよ』

「!!うぃっス!!!」

「おおきに!!姉ちゃん!!」

『はいはい』


こうしてリョーマと遠山の、1球だけのシングルス1が始まった
サーブはリョーマからだ


「コシマエ〜ッ。いつでもいいでぇ!」

「…んじゃ遠慮なく」


ボールを数度バウンドさせ、リョーマはツイストサーブを繰り出した
遠山の顔面にボールが跳ね上がる


『容赦ないわね』




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