頂を目指す二ノ姫X

□東西の超ルーキー対決
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リョーマと遠山の試合は1級勝負だったはずだった
いや、今もそうではある。だが、すでに40分が経過していた


『………困ったわ』

「もう止めるべきやな…
これ以上続けると越前クン、明日の決勝使いモンにならなくなるわ」


白石の言葉には同意せざるをえない
だが、止められない思いも抱えていた


「運命的にお互い何か感じ取ったんだろうね
絶対この相手には負けられない……」


たとえ1球勝負だったとしても、譲れない思いがある


「でも桜!何も今無茶しなくても!?」

『分かってる……』


その時、ついにリョーマに無我の境地の副作用が出た
桜は立ち上がる


『リョーマ!!』

「金太郎もう止めやーっ!!」


渡邊も遠山に叫ぶ
だが、絶望的な言葉を放った


「アカン。もう遅いわ…」


砂埃をあげ、足音を響かせ遠山が走り回る
その動き、構えに四天宝寺の顔色が歪む


「あれはワシの百八式より危険だぁ――!!」

「みんな伏せやーっ!!」









「超ウルトラグレートデリシャス大車輪山嵐!!」









強烈な打球がリョーマに向かう
百八式を使う銀がそれより危険だと言った技
全員がリョーマの絶体絶命を悟った





『リョーマ!!』





凄まじい突風
思わずベンチにしがみつく
肩に手塚の手の力を感じた
そうでもしてもらわないと踏ん張れないほどの風だった
砂埃が舞い、視界が悪い

桜は目を凝らしてコートを見た
人影が2つ見えてくる


「いったい……どうなったんだ?」


最初に顔を見せたのは遠山だった
遠山は嬉しそうにしていた
相手のコートに、ボールが入っていると思ったからだ。だが


「あり?







半分やんけ!







そしてリョーマの姿が見えてきた
今までにない構えのリョーマ
彼が技を繰り出したことは一目瞭然だ
桜ははぁ、と息を吐いてベンチに逆戻りした


『心臓に悪いわ』

「ボ、ボールが真っ二つに…」





「両者引き分けだぁ!!」





「ちぇっ」

「ええ〜〜〜〜〜っ!!終わり?」


不満そうなリョーマと遠山
桜は前髪を掻き上げて脱力した
すると、頭上からどこか興奮しているような不二の声がした


「あれが無我の奥の究極の扉…『天衣無縫の極み』なのかい?」

「(……不二)」

『(周助………)』


手塚は何も言わず不二を見つめた
桜は顔を伏せたまま、何も聞かなかったようにベンチから立ち上がる
そしてコートから出ようとせず、もう1勝負やらかしそうな2人の元へと向かった


「なぁなぁ、もう1回やったらアカンの?」

「確かに、納得いかない」

『駄目に決まってるでしょういい加減にしなさい!!』


頭を押さえつけられ、リョーマと遠山はコートから引きづり出された








こうして全国大会決勝は
立海大附属(神奈川)VS青学(東京)という因縁の対決を迎える事となった




→atogaki
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