夜空を纏う四ノ姫2

□4つ目の試練「指導力」
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《元気そうね。無事に帰って来てて良かったわ》

「さ、桜……どうして電話なんか……
(なんで桜が10年後の世界から帰って来たこと知って……)」

《あら、2日くらい前に了平からツナ達が行方不明だって聞いて
京子たちまでいないって言うから何があったのかって心配してたのよ?
少し前に京子とハルから電話が来て、
亮も電話をくれて貴方たちが無事に帰って来たっていうから電話してみたのよ》

「あ、そう……なんだ。俺も電話しなくてごめん(そっか。そっちか)」

「(ツナめ。緊張しやがって)」

《別にいいわよ》


リボーンは鋭いまなざしでツナを見た
獄寺たちも神妙な顔で見守っている


《無事でよかったわ。ピクニックに行って迷ったって聞いたけど》

「あ、うん。そうなんだ…」

《フフ。そう、災難だったわね
でも楽しそう。私も行けたら良かったんだけど》


本当に面白そうな桜の声色
それがツナにカチンときた
ギュッと受話器を握る手を強める


《ランボ達も行ったんでしょう?大変だったんじゃない?》

「う、うん……大変だったよ……でも
……俺が地図を読み間違えちゃって…」

《あら、そうだったの…
でも3日も行方不明だなんて道間違えるにも限度があるでしょう
色々巻き込まれちゃった?》

「…………うん」

《そう。でも本当に、無事に帰ってきてくれてよかった》









「全然……良くなんかないよ!!」









その瞬間、ツナは怒鳴っていた
桜はびっくりして声を失っていた
沈黙が流れ、ツナの荒い息づかいだけが聞こえる


「ツ、ツナ?」

「おい、沢田」

「10代目……」

「(ダメツナめ)」


困惑した獄寺たち
リボーンは目を細めた


「なんだよ…何も知らないくせに勝手な事言うなよ!!」

《あ、の…ツナ……》

「本当は俺達が無事じゃない方がよかったんだろ!?」

《何、言って……》

「だって桜は「このダメツナめ!!」フゲェ!!」

「10代目ー!!」


ツナはリボーンに横っ面を蹴り飛ばされ床に沈んだ
獄寺たちが慌てて駆け寄る
リボーンは受話器をとって桜に話しかけた


「ちゃおっス、桜。わりーなツナが」

《リボーン…》

「ちっと今ツナはテンパっててな
桜に八つ当たりしちまったんだぞ」

《……そう。大丈夫よ。気にしてないわ》

「そうか」


リボーンは帽子を下げ、小さく言った


《ところで、そこに隼人たちもいるの?》

「ああ、いるぞ」

《そう》

「代わるか?」


そう言ってリボーンは獄寺たちを見た
了平は別に行方不明だったという訳ではないからこの場合は獄寺と山本だ
だが獄寺と山本は一様に目を伏せた
リボーンは聞こえない程小さく舌打ちをすると、明るい声で桜に言った


「あいつ等ツナの介抱で手いっぱいみたいだから代われねーぞ。わりーな」

《いいえ。いいのよ。声が聞けて良かったわ
無事ならそれでいいのよ。またね》

「ああ。それじゃーな。帰って来たら……エスプレッソを淹れてくれ」


唐突なお願いに一瞬静かになった
そして、桜はフッと笑った


《ええ。もちろん》


リボーンは受話器を置くとツナを睨みつけた


「10年後の世界のことは桜に言えねーことを忘れたのか、ツナ」

「リボーン、オレ……」


ツナは蹴られた頬をさすりながら顔を伏せた


「桜は気にしてないと言ってたぞ
いいか、ツナ。この時代の桜にはまだわからないことだ
それでアイツを責めたってなんにもならねーぞ」

「……」


ツナと獄寺、山本は沈黙した
了平もこの時ばかりは空気を読んで静かにしている


「言っちまったことは仕方ねぇ
白蘭を倒して、桜の目を覚まさせてやるしかねーんだ
とにかく今は、次の試練に集中しろ」

「う、うん」


リボーンに諭され、ツナは唇を噛み締めて頷いた



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