夜空を纏う四ノ姫2

□4つ目の試練「指導力」
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一瞬沈黙が襲うが、了平がそれでは、と手紙を指差した


「封筒を開けんか沢田!」

「え、は、はいい」


了平に叱咤され、ツナは封筒を開いた
中には紙が入っていて、そこには一つの文章が書かれていた





“私を捕まえてみなさい。風”





「“私を捕まえてみなさい”?」


さらに、封筒の中には写真も入っていた
そこにはカンフー服を身に纏い、サングラスをかけ、
帽子を被り、猿をつれた怪しげな男性の姿
それを見るなり了平と獄寺が叫んだ
心当たりがあるらしい
さらに山本も知っているらしく、
3人は同時に喋り出すが何を言っているのか分からない
ツナも堪らず叫んだ


「ストーップ!!みんな一斉に喋ったら全然分かんないよ!」

「とにかくこいつを捕まえればいいのだな」

「だったから俺に任せてください10代目!!」

「俺もオヤジが何か知ってるか聞いて来るぜ」


そう言って、3人は勢いよく家を飛び出して行った
すると、写真を見たイーピンが叫んだ


「あーっ!!お師匠様!」

「え!お師匠様!?これがイーピンのお師匠様なの!?
って、イーピンのお師匠様って、アルコバレーノだったの?」

「そうだ。イーピンの師匠は赤いおしゃぶりを持つ、武道家の風(フォン)だぞ」

「で、でも、イーピンからはそんなこと一度も……」


ツナにそう言われたイーピンは表情を曇らせた
リボーンが厳しく言う


「武道家の弟子は、師匠に忠誠を誓ってるんだ
ぺらぺらと情報を漏らすようなマネはしねぇ」

「そ、そうか。イーピンはお師匠様のこと大好きだもんな」

「ツナさん……」

「そんなことより、早く風を見つけなくていいのか?
お前も心当たりがあるんだろ」


そう言われて、ツナは昨日の事を思い出した
並中の屋上に佇んでいた、あの怪しげな男の事を
ツナはランボを連れ、戸惑うイーピンを残して並盛中へと向かった






















校門の前に立ったツナだが、屋上を見上げてみても昨日の男の姿はない


「いないみたいだな」

「ここにチレンが待ってるんだな〜」


そう言うとランボがツナの頭を踏み台にして校門を飛び越えてしまった
ツナは慌てて捕まえる


「休みの日に勝手に学校に入ったところをヒバリさんに見られたら…」


そう恐々と言ったツナの肩に手が置かれた
ツナは雲雀かと身を固くするが、その声は高かった


「どうしたんですか?ツナさん?」

「ハル!?どうしてここに」


ツナの背後にいたのはハルだった
驚くツナにハルは嬉しそうに言う


「はい。ツナさんに会いたいな〜と思っていたら、
ナイスタイミングで目撃したものですから!
これってやっぱり、運命なんでしょうか?」


頬を赤く染めるハルにツナはあきれ顔だ
すると、頭上から声が降って来た





「待っていましたよ」





屋上に写真の男、そしてラルとリボーンがいた
男が服と帽子を外すと、そこから小柄な影が飛び出してきて宙返りした
男性だと思っていたのは実はリボーンたちと同じサイズの赤ん坊だったのだ
宙返りした赤いカンフー服の赤ん坊は器用にフェンスの上に着地した


「私は風(フォン)。与える試練は指導力です」

「指導力?ってかあの人……」

「あのお姿は……」

「ヒバリさんにそっくり!かなり小さいけど」


風を見たハルとツナの感想がこれだった
だから気づかなかった
花壇の影にイーピンがいたことに


「(お師匠さま)」


彼女に気付いた風はフッと笑い目を伏せた
ツナは恐る恐る問いかけた


「あ、あの…でも、指導力の試練ってどんな?」

「ルールは簡単です。私がこの学校内を逃げます
あなたたちが私を捕まえることが出来れば試練はクリアです
時間は12時まで。それまでに捕まえられなければ失格です」


ツナは時計を見上げた
針はちょうど11時を指していた



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