夜空を纏う四ノ姫2

□4つ目の試練「指導力」
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「あと1時間。でもそれって鬼ごっこ!?」

「ただの鬼ごっこだと思って甘く見るなよ。風は素早いぞ」

「風(フォン)というのは風(かぜ)っていう意味だからな」


ラルとリボーンに言われ、ツナは表情を引き締めた
風は穏やかに口を開く


「あなたは、今学校にいるメンバーを使って私を捕まえるのです
つまり、その時のあなたの指導力を見る訳です」

「えぇ!!今学校にいるメンバーってランボと…ハル!?」

「はひ?」


キョトンとするハルにツナは風を見上げた


「でも、ハルは守護者じゃないし…」

「今回の試練は特別です
メンバーの能力を見極め活用出来るかも、指導力の大切な要素ですから」

「そんなぁ……」

「ツナさん!よく分かりませんが、ハルはツナさんの為に頑張ります!」

「ハル……」

「ランボさんだって、チレンクリアでキラキラのピカピカだもんね!」

「ランボ……」


2人の言葉に、ツナは覚悟を決めた
その様子に満足そうに笑った風はおおらかに言った


「では始めましょう」





「アルコバレーノ、風の試練、開始!!」





ツナたちは勢いよく校舎内に走って行った
それを見送ったイーピンは、沈んだ面持ちで校舎をじっと見つめていた


「(どうしよう……ツナさん……お師匠様……)」

「あれ……確か沢田の所の…」

「!」


イーピンがハッとして見上げると、そこには越前が怪訝な表情で立っていた
越前は息を吐いて肩を竦めた


「(………分かってても、俺子どもに遭遇しすぎ……)」

「コンニチワ」

「ああ、うん……ここで何してんの?
今日休みだからヒバリさんに怒られるよ?」

「!!」


ヒバリと聞いた途端イーピンが反応した
固まったイーピンにリョーマはさらに怪訝な顔をする


「もしかして、沢田もいるの?」

「……ハイ」


頷いたイーピンに越前は顔を手で覆った
こめかみのあたりを押さえ、疲れた顔を見せた


「何してるんだよ、沢田……で、アンタはここで何してるの?」

「………」


表情を暗くさせてしまったイーピンに、越前は何かを感じたのかジッと彼女を見た
そして、頭に手を乗せた


「!」

「何考えてんのか知らないけどさ
まだ小さいんだからそんなに考えなくてもいいんじゃない?」

「?」

「少なくとも、どっちをとっても後悔するなら試しに動いてみるといいよ」

「!」


すると、屋上から声がした
見上げれば柵の上にいた風が飛び下りていた
思わず息を呑む越前だが風は余裕そうだ
程なくしてツナ、ハル、ランボが下駄箱から勢いよく走り出して来る
彼らは越前とイーピンに気付かず、体育館に向かった
越前はそれを見て、イーピンに言った


「悔いを残さないこと。簡単なようで、凄く難しいよ
なら何もしないで後悔するより、
何かをしてから後悔する方がいいと、俺は思ってる」

「!」


その時の越前の表情に、イーピンは息を呑んだ
元々大人びてはいたが、輪をかけて大人に見えたのだ


「まぁ、雲雀さんの逆鱗に触れないようにって、沢田たちに言っておいてね」



そう言って、越前はイーピンに背を向けて校舎へと歩いて行った















結果として、イーピンの協力により風はツナに捕まった
風の流れに逆らわず、手の中に入ってくるのを待つ
これが大事だった
風(かぜ)は追うと逃げるのだ

ボンゴレリングは赤色に光り、これでアルコバレーノの印は4つ集まった























その夜


「いいの?彼に何も説明しなくて」

「ええ。これはアルコバレーノの問題でしょう?」

「まぁ、そうねぇ」

「さてと、それじゃあ次は私の番ね

どんな子か楽しみだわ






沢田、綱吉くん







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