夜空を纏う四ノ姫2

□4つ目の試練「指導力」
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京子を家に送り届けたツナ、山本、了平は、突如
「チレン、チレン〜」と叫びながら走って来たランボと遭遇した
顔面を蹴りつけツナを転倒させたランボは、お構いなしに走り去っていく
ランボはアルコバレーノの印をもらった時の光がまた見たくなったのだ
リボーンに言われ、ツナはランボを捕まえに走った























ランボは並盛中にやって来ていた


「チレン〜」

「………ん?」


そのランボの声に、ちょうど見回りから戻って来た越前が怪訝な顔をした
校舎を見上げるランボが目に入り首を傾げながら近づく


「チレンはきっとここだもんね!」


越前に気づかず、ランボは校門を飛び越えようとした
越前はその小さな体を両手で包み込むように捕まえる


「ぷぎゃ!!だ、誰だもんね!!」

「越前リョーマだけど
沢田の家にいる子どもでしょ。沢田はどうしたの?」

「知らないもんね!!離すんだもんね!!
ランボさんは、キラキラのピカピカが欲しいんだもんね!!」

「………意味分かんないんだけど………
…勝手に校舎に入ったら怖い風紀委員長に咬み殺されるよ」

「は〜な〜せ〜」

「はぁ…」


懸命に手から逃れようとするランボに越前は深い溜息を吐いた

すると、背後からバタバタと走る足音が聞こえてくる
振り返ると、そこにはツナが肩で大きく息をしていた


「リョ、リョーマくん!!」

「保護者が来たか。はい、面倒はちゃんと見てよね」

「あ、ごめん」


ランボを引き渡され、ツナははぁ〜、と疲れた息を吐いた
しかし手の中のランボは相変わらず暴れていた


「離せ〜は〜な〜せ〜!!ランボさん、チレン受けるんだもんね!!」

「………何を受けるって?」

「あ〜、あのあれだよ。アルコバレーノの試練」

「それを受けたいって言ってるわけ?この子ども」

「うん。ほんと、人の気も知らないで」


肩を落としたツナを不憫そうに見る越前
彼もまた、人に振り回されることを宿命づけられた人種だ
なおも暴れるランボに、ツナが根負けした


「分かったよ。次の試練の時は知らせてやるから」

「ホント?」

「ああ、ホントだ」


それを聞いたランボは暴れるのをやめてツナの手から逃れて地面に降りた
ツナを見上げて、静かな声で言う


「じゃ、帰る。お腹減ったもんね」

「オ、オイ!!あ〜疲れる奴…」


心底疲れた顔をしたツナの肩を越前が無言で叩く
彼もここに来てから雲雀という人間に振り回されてきた
何となく彼の気持ちは分かる

すると、ツナは校舎を見上げてハッとした
屋上に、カンフー服を着てサングラスをかけた男がいた
帽子を被ったその頭の上にはサルがいる
しかし、ランボに呼ばれ一瞬目を離した隙にその人影はいなくなってしまっていた


「あれ?もういない」

「どうしたの?沢田」

「あ、ううん。何でもない。それじゃあまた、リョーマくん」

「ああ、じゃあね」


ランボを追って小走りに駆けて行ったツナ
その後姿に視線を向けていたが、校舎へとそのネコ目を向けた
ジッと睨むように、屋上に視線を向ける


「…………や〜な予感」





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