夜空を纏う四ノ姫2

□5つ目の試練「包容力」
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アリアは、ツナに目を向けて言った


「学校は楽しい?綱吉くん」

「え、ええ。まぁ」

「うん。学生時代は大いに楽しみなさい
勉強にスポーツに恋!やることはたくさんあるわよ!」

「は、はあ」


楽しそうなアリアにツナは生返事をした
その2人に並盛の代名詞とも呼べる声が掛かった


「何してるの」

「あ!!」


青ざめたツナが振り返ると、雲雀がいた
彼の後ろには呆れ顔の越前もいる
雲雀は昨日の今日でかなり機嫌が悪かった
直立不動となったツナに越前が言う


「放課後は立ち入り禁止だよ」

「う、うん」

「綱吉くんのお友達?」

「ひっ…」

「誰?」


雲雀の目がアリアに向けられる
アリアは穏やかな表情でにこにこと笑っていた
越前は、彼女の首に目を向けて口を引き結んだ
ツナはアリアの背中を押し、雲雀から離れようと動いた


「友達だなんて、そ、そんな滅相もない
リョーマくんは別として……
とにかく、次行きましょ。京子ちゃんたちも!」

「あ、沢田…」


とにかく雲雀から離れようとするツナの背中に、雲雀が声を発した


「…君達が何をするつもりか知らないけど、
これ以上学校で騒ぎを起こしたら、咬み殺す」

「はい!すいません!!」

「楽しそうなお友達ね」


トンファーを構えて威嚇する雲雀にアリアはそう言うが、ツナは冷や汗ものだ
そしてふと、雲雀を見た


「(そういえばヒバリさん
ちゃんと一緒に10年後の世界に戻ってくれるかな)」























並盛商店街に到着したツナは、早速アリアと京子たちの買い物に振り回され始めた
今日限定で半額になっているチョコレートを買う為に女の子の群れに飛び込み、
もみくちゃにされながら品物を購入する
その間に彼女たちが買った大量の洋服をおぼつかない足取りで運ぶツナ

そんな敬愛する彼の姿に、電柱の陰で見ていた獄寺は涙を流していた


「おいたわしい。10代目になんてことをさせるんだ。クソッ」


アリアがツナに接触した時点で、アルコバレーノの5つ目の試練が始まっていた
アリアの試練には他の守護者が手助けをすることを禁止されているのだ
だから山本も了平も、陰ながら様子を観察する事しか出来なかった
だが、獄寺はわなわなと震えだした


「もう我慢できるか。オレが手伝って……」





バキュン





身を乗り出した獄寺を遮るように弾丸が撃たれた
撃ったのはラルで、彼女は厳しい顔を見せた


「手を出せば、そこで試練は失格とみなすぞ」


歯を食い縛る獄寺を山本がなだめる。すると、


「何しとんねん?自分ら」

「「「!!!」」」


驚いて後ろを振り返った獄寺たちに笑いかけた謙也
獄寺は彼に凄まじい形相で詰め寄った


「テ、テメェ!!今までどこにいやがった!!」

「ど、どこて……」

「こっちに帰って来てからいきなり姿消しやがって……
テメェも手伝えよ!!」

「手伝えって、俺は守護者やないし、手伝う事なんてあらへんで?
それに俺もしなきゃならん事があってな。そっちも結構忙しくて……堪忍な」


眉を下げた謙也に獄寺が歯を噛みしめた
山本が朗らかに言う


「謙也さんはどうしたんスか?」

「ん?ああ、俺は用事すました帰りや
どや、アルコバレーノの試練の方は順調か?」

「4つまで終わって、今ツナが5つ目の試練の最中っスよ」

「そか。まぁあと3日。俺は信じとるから頑張ってくれ」

「謙也はそれまで何をしておるのだ?」

「俺はまず自分らが3日後、確実に未来に帰れるように準備しとくで」


謙也はにっと笑って獄寺と山本の肩をバシバシと叩いた


「頼むな。諦めるんやないで」

「けっ。ったりめーだろ」

「うっす」

「おう」


頼もしい答えを聞き、謙也は口角を上げて彼らに背を向けた




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