夜空を纏う四ノ姫2

□5つ目の試練「包容力」
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「これが私の運命なら受け入れるわ

綱吉くんは良い子ね
ユニも、私の娘もあんな風に育ってくれたらいいのだけど……」


そう言って歩き出したアリアを見送ったリボーンは、音もなくその場から消えた

完全に気配を感じられなくなったと判断できた次の瞬間、彼女の肩に影が乗った


「楽しそうだったわね」

「ええ。とても楽しめたわ」


フフッと笑ったアリアに、肩の影は満足そうに微笑んだ
アリアはあら?と首を傾げた


「彼はどうしたの?」

「置いて来たわ。誰かに見られると厄介だしね
それで、どうだった?貴女の目から見た沢田綱吉は」


影の問いにアリアは目を細めた
どこか嬉しそうに微笑む


「良い子だった。本当に
真っ直ぐで優しくて、包み込むような温かさ。流石大空ね」

「そう。それは良かったわ」

「それから、夜のアルコバレーノの印のことは適当にはぐらかしておいたわ
綱吉くん達は彼から大空のアルコバレーノに聞くといいって言われていたみたいで
だから、7つの印を集めればおのずと分かるって言っておいたんだけど」


良かったかしら、と首を傾げたアリアに、影はええ、と頷いた
しゃらん、と音がする


「逆に好都合だわ。ありがとうアリア」

「どういたしまして」


顔を見合わせて笑い合う2人
その雰囲気はまるで長年親しんだ友人のようだった
だが、それが不釣り合いであることは傍から見れば一目瞭然でもあった


「そういえば、面白そうな子に会ったわ」

「あら、誰の事かしら?」

「トンファーを持った男の子と、ネコ目の男の子よ
どちらも可愛らしかったわ」

「それ、きっと本人が聞いたら怒るんじゃないかしら?
男の子に可愛いはダメみたいよ?」

「それは同年代同士の話じゃない?」


2人はいつの間にか通りに出ていた
すると、横に滑るように黒塗りの車が一台やって来た
それにアリアは肩を落とした


「あらγ。もう見つかっちゃったか」

「ボス。一体どこに行ってたんだ!!急に日本に行くと言い出して」


車に乗っていたのは、ジッリョネロファミリーのボス、アリアの部下、γ
10年後にミルフィオーレで電光のγとして恐れられる男だった
彼は自身のボスの肩に乗る影に怪訝な顔をした


「………そいつは?」

「ああ。私の母からの大事な友人よ。大切な人なの」

「ふふ。ありがとうアリア。よろしくねγ」

「(……アルコバレーノ?)
……そうか。とにかく、ホテルへ帰るぞ」

「まだ駄目よ」

「ボス」


諭すようなγにアリアは頑なに言った
どこか遠くを見るような目をする


「まだ用があるの。大事な、ね」

「(次はきっと……黄色いおしゃぶりのアルコバレーノ、リボーン)」






















その夜、ツナはリボーンの只ならぬ雰囲気に背筋を伸ばした
どこか暗く、鋭く、冷たい空気
身震いするような空気だった

リボーンは静かに言った


「ツナ。次の試練の相手はオレだぞ」

「えっ」


その宣告に、ツナは目を瞬かせた




→Un afterword
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