夜空を纏う四ノ姫2

□5つ目の試練「包容力」
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ツナはボンゴレリングを見ながら呟くように言った


「アルコバレーノの印はなんとか4つ集まったけど、まだあと半分も残ってるのか」

「見た目は変わらねーし、もうこれで匣が開けばいいのにな」


リボーンは黙ってエスプレッソを飲んだ
了平はツナに顔を向けた


「うむ。試してみたらどうだ、沢田?何事も当たって砕けろだ!!」

「何言ってんだ芝生頭!本当に砕けたらどーする!!」

「ああ。爆発するかもしれねーぞ!」


それに驚いて身を乗り出すツナに、リボーンが静かに言った


「とにかく、お前たちは試練をやり遂げる必要がある
これからの戦いの為にもな」

「リボーン?」


神妙なリボーンの様子にツナは訝しげな顔をした
リボーンは続けて言う


「この試練を乗り越えられないんじゃ、
10年後の世界に戻っても白蘭を倒すなんて無理だからな」

「しかし10年後の世界に戻るまで、今日を入れてあと3日しか…
アルコバレーノがいつ来るかも分かりませんし」

「それに、夜のこともあるしな……」

「………うん」


夜と聞いて、ツナは顔を俯かせた
桜を思い出してしまったから
彼女に酷いことを言った
それを想うと嫌な感じがする
でも、10年後の未来で、自分たちを裏切った彼女のことも思い出す
2つの感情にツナは吐き気がした
彼女の顔を消すように頭を振ると、ツナはリボーンを見た


「なぁ、リボーン
国光さんたちは夜については大空のアルコバレーノに聞けって言ってたけど、
どういう意味なんだよ?」

「………知らねぇぞ。大空のアルコバレーノ以外、
俺達は夜にアルコバレーノがいないことだけしか知らねぇからな
その存在は秘匿とされ、大空が管理することしか知らされねぇんだ」

「それじゃあ、アルコバレーノがいないのに、どうやって印をもらうんだろ?」

「……さあな」


リボーンはそう言ってまたカップを傾けた
ツナはやはりいつもより暗い表情のリボーンに首を傾げる


「……それじゃあ、大空のアルコバレーノは?どんな人なの?」

「………大空のアルコバレーノもいねーぞ」

「えっ!?」

「今、大空のアルコバレーノは欠番だ」

「欠番って、どういうこと?」


またそれっきり口を噤んでしまったリボーンに、ツナたちは困惑の表情を浮かべた。すると、




ピンポーン




チャイムが鳴った
奈々がいないことを思い出したツナが慌てて階段を下りた


「はーい、誰ですか」

「ツナさん!よかった。いらっしゃってたんですね!!」

「突然ごめんね、ツナくん」


そこにいたのはハルと京子だった
ツナは顔を赤らめた


「京子ちゃん!ハル!どうしたの?ああ、お兄さんなら今2階に」

「ううん。そうじゃなくて」

「ハルたち。この方を宍戸さんの代わりに案内してきたんです!」

「宍戸さんの代わりに?」


京子とハルがどくと、そこには赤いシャツ
左目の下に独特な痣を持つ黒髪の女性がいた
彼女は前に出て来てツナの前に立って笑った


「こんにちは」


にこやかな女性に戸惑うツナに、京子とハルが楽しそうに言った


「ハルちゃんと歩いてたら宍戸さんが困ってたの
それで話を聞いたら、この人がツナくんの家を探してたんだって」

「本当は宍戸さんが案内したかったそうなんですが、
急に用事が入ってしまったそうなので、私たちがお連れしました」

「そうなんだ」


しかし、そう言われてもツナには見覚えがない
表情を引きつらせてツナは女性を見上げた


「あのぉ、どちら様ですか?」

「私はアリア。あなたに試練を与える為に来たのよ、沢田綱吉くん」


怪訝な表情のツナにアリアと名乗った女性は身を屈めて彼の耳に口を寄せた


「あんなかわいいガールフレンドが2人もいるなんて、やるわね、綱吉くん」

「いや、あのそのー…それより試練って………あ」


真っ赤になったツナは
アリアの首にオレンジ色のおしゃぶりがかけられていることに気付いた


「(どういう事?大空のアルコバレーノはいないんじゃ…
それにこの人大人だし………)」


困惑するツナにクスっと笑ったアリアは、京子とハルを連れ、ツナに背を向けた
並盛を案内してくれるという2人の言葉に甘えるというのだ
ツナは慌ててアリアたちの後を追った















雲雀とともに歩いていた越前は、並中の前に人影を発見した
それにより機嫌の悪くなった雲雀に気づかれないように嘆息した


「(……面倒事、この数日の間に多すぎない……?)」


あまりにも彼等との遭遇率が高いことに、越前は頭痛を覚えた




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