頂を目指す二ノ姫X

□リョーマはいずこ
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そして、遂にこの時が来た
桜は目を伏せ息を吐くと、真っ直ぐに彼らを見た


『……ここに来るまで、いろんなことがあったわね』

『ランキング戦でまさかのレギュラーが誕生し』

『地区予選を優勝した』

『都大会も中々苦戦したし』

『関東大会なんか、氷帝で始まって立海で終わったのよ?』

『国光を欠いた状態でも全員が一丸となって戦ってきたけれど
きっと辛いことも多かったはずだわ』

『でも、その全てでみんなは自分の力を信じ、仲間を信じ
今までの練習を信じて試合をして、優勝したわ』

『全国でもダークホースに完勝して、氷帝にも死力を尽くして勝って
四天宝寺にも諦めずに勝って来たわね』

『だから、これが最期よ
自分の力を信じて、みんなの力を信じて、これまでの想いを信じて』





『テニスを楽しんでいらっしゃい』





「「「はいっ!!!」」」















全国中学生テニストーナメント

5月から多くの中学生が高みを目指してラケットを振るってきた
何十とある中学校のうち、日本一を決める大会

その決勝が、今行われようとしていた















しかしその大一番で桜は盛大なため息をついた
何とか間に合ってくれるかと思っていたのだが、駄目だった様だ


『………ええ。それでね、お願いがあって………』

「“……仕方ねぇな。準備させるぜ”」

『ありがとう。ごめんなさい』

「“お前の滅多にねぇ頼みだからな。構わねぇよ”」


終話ボタンを押し、額を抑えた桜はベンチへと戻った
ちょうど青学がコートに入場してくる頃合いだった
その様子を観客席で見ていた白石は真面目な顔をして言う


「今年の立海はハッキリ言ってケタ違いの強さや…
でも奴等の3連覇を阻止出来るとしたら……






お前らしかおらへんで!







「《只今より決勝戦







立海大附属(神奈川)VS青春学園(東京)の試合を行います!!》」







ネットを挟んで相対した彼等
真田は鋭い視線を見せた


「決勝までよく来た
だが内容はお粗末極まりない
幸村の加わった我が立海と戦えるレベルでは無いわ」





「…ま、まだまだだね」





真田の言葉に一際小柄な少年がそう言った
そのセリフはリョーマの口癖だが、本来の彼より明らかに弱々しい
仁王も喉で笑い面白そうに目を細めた


「ずいぶん覇気の無い1年坊じゃの」

「(ヤベェ〜〜ッバレてるよ!!)」


その正体は堀尾だった
リョーマに扮していたのだ
当のリョーマがいまだ会場に現れないことが原因だった



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