夜空を纏う四ノ姫2

□最後の審判
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『退屈かもしれないけれど、もう少し待っててもらえるかな?
一応形式というものがあるのよ』

「…………」


雲雀は驚くことに構えを解いた
その為ツナたちは、雲雀の目が夕月を探るように凝視していることに気付かなかった


「………越前。トンファー取ってきて」

「…俺、アンタの雑用じゃないんスけど」


そうため息をつく越前だったが、言われた通りトンファーを拾いに行った
雲雀は夕月から距離を取って腕を組んだ

リボーンはそれを見て口を引き結んだ


「(………アイツ、もしかして気づいたか?)」

「……続けろ、夕月」

『………ええ』


ラルに促され、夕月は気を取り直してツナを見た


『第3の試練は藍色のおしゃぶりを持つアルコバレーノバイパーの適応力
参加者は雨の守護者と晴の守護者
正直言って知能面はファミリー全体的に上げた方がいいと思うわ』

「アハハハハ…」

『頭がいい人、というのは一人でもいいけれど
頭の回転が速い人、思慮深い人は多くいなきゃダメよ
でも、猪突猛進気味の彼等の手綱をしっかり握れていたし
彼らに合った戦い方を決断し、指示していたわね
それは10代目の適応力が確かに的確であると判断できるわ』

「やったな、ツナ!」

「ウム。極限だな」

「意味わかんねーんだよ!!」

「だな」


獄寺のツッコミに宍戸も同意する
ツナはやはり乾いた笑みを浮かべるしかなかった


『第4の試練、赤色のおしゃぶりを持つアルコバレーノ風の指導力
参加者は雷の守護者と一般人の三浦ハル
そして風の弟子にあたるイーピン
最初は短絡的な思考で考えなしに彼を追いかけ回すしかしていなかったわね
ボンゴレ10代目に足りないのはやはり思考力かもしれないわね』

「確かにな」

「うっ…………」

「さっきから黙って聞いてれば………」

「何度も同じことを言わせるなよ獄寺。黙って聞いていろ」

「日吉…てめぇ……」


獄寺は日吉をギンと睨みつけるが日吉は全く気にしていない
獄寺はそれに思う所があったのか口を閉ざした


『今回の試練は、10代目の今までの行いが重要だったわ
あなたのこれまでの決断がイーピンを動かした
彼女の働きは指導力の賜物であると判断できる』


イーピンに微笑みかけた夕月は、アリアの肩に飛び乗った


『第5の試練は橙色のおしゃぶりを持つアリアの包容力
言わずもがな、10代目はどんなに彼女に振り回されても嫌な顔せず動き
さらには敵かもしれない者までも守ろうとした
その優しさは時として仲間を危険に晒し
取り返しのつかない事態を引き起こす可能性を秘めているわ』

「!!」


ツナはごくっと生唾を呑みこんだ
夕月の声に思わず飲まれそうになる
だが夕月は安心させるようにニコッと笑った


『けれど、きっとそれ以上に何かを救う可能性も秘めている
あなたの決断はきっと、貴方を裏切らないわ。今回のようにね
全てを包み抱擁する大空にふさわしい包容力であると判断できるわ』


アリアの肩から降り立った夕月は海を見つめた
キラキラと光る水面と同じように、紫色の瞳が輝く


『そして第6の試練、黄色のおしゃぶりをもつアルコバレーノリボーンのボス力
第7の試練、緑色のおしゃぶりを持つアルコバレーノヴェルデの直観力
どちらも参加者は守護者全員
己の弱さと意志の弱さ。視野の狭さ、覚悟の弱さが露呈されていたわ』

「………(そうだ。オレ、覚悟が足りてなかった)」


未来で待っている白蘭との戦いは、恐らく熾烈を極める
負けて、じゃあもう一度なんて許されるような状況ではない
必ず勝たなければならない戦いなのだ
だからこそ、リボーンに言われたことは心に響いた


『けれど、貴方はヴェルデの居場所に気付いた
何よりボスとして、いいえ、仲間の為に拳を振るうことを決断した
それに守護者は応えて見せた
人は1人では何もできないもの
それはボスであっても同じこと
貴方は決断し、そして判断した
私はそう受け取ったわ』


夕月は周囲をぐるっと見回して、再度ツナの目を見た
そこに、確かにあった。彼の覚悟が
夕月の鋭い目がツナを射抜く


『ボンゴレ10代目、沢田綱吉。あなたに問うわ






あなたは、何のために拳を振るい、戦うのかしら?』






ツナはボンゴレリングに目を落とした
リングを撫で、目を瞑る
そこにあるのは仲間の、大切な者たちの姿


「……正直言って、戦うことはやっぱり好きじゃない
出来るなら、みんなと平和に暮らしたい
でも、それを脅かす奴がいる」

『……………』

「だから、オレはみんなを護るために、平和な並盛に………」


ツナはそこで言葉を切った
夕月は怪訝な顔をする

ツナの脳裏には、彼女の姿が映っていた
いつも自分に笑いかけてくれた、信じると言ってくれた、彼女










ツナ



……ツナ



ツナ!!





貴方を信じてる










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