夜空を纏う四ノ姫2

□最後の審判
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『こういうことよ。ボンゴレファミリーのみなさん』






その瞬間、リボーンとツナの間に黒い影が入り込んだ
慌てて飛びのいたツナを一瞥したその影の頭に飾られている簪がしゃらんと音を奏でる
第三者の突然の登場に全員目を丸くした


「なっ!!」

「誰だ!!!」

「赤ん坊……」


黒い着物に袴をはき、背中に刀を背負っていた赤ん坊は
多くの視線を受けながら大きな目でツナを見ていた
一見して女の子だと分かる容姿の赤ん坊はにっこりと笑う


『こんにちは。ボンゴレ10代目
私は夜のアルコバレーノ夕月よ』

「よ、夜のアルコバレーノ!!」

「確かに、黒いおしゃぶりを持ってるな」

「へぇ。アルコバレーノにも夜がいるんだな」

「そうだぞ。こいつが最後の試練の相手だ」


リボーンが夕月を見てそう言ったので、ツナは慌てた


「ちょっリボーン!
夜のアルコバレーノはいないって言ってたじゃないか!!」

「そういえば、言ってたな」

「そうなんだ?」


ふーん、と越前が夕月を見下した
夕月はコテンと首を傾けた
頭から見える刀が一緒に傾く


『大空のアルコバレーノ以外、私の事は誰も知らなかったわ
リボーンにもついこの間会ってお話をしたの』

「大空のアルコバレーノって、アリアさんだけ?」

「ああ。俺だって驚いたんだぞ」


しみじみと言うリボーンにツナは腑に落ちないながら納得した
それを見たリボーンは夕月に目を向ける


「それじゃあ試練を開始するぞ。頼むな夕月」

『ええ』


夕月は柔らかく笑いツナを見上げた
ツナは緊張の面持ちで夕月を見つめ返す


『それじゃあ始めさせてもらうわね、ボンゴレ10代目』

「は、はい…でも、試練って何を………また戦うの?」

『フフ。違うわよ』


不安そうなツナに、夕月は指を組んだ


『試練、という言い方が悪かったわね
言い方を変えれば、私の試練はもう始まっていたの』

「えっ!!」

『私はあなたがファミリーの仲間とともに
これまで7つの印を集めた過程を見させてもらったわ
私はそれを踏まえた上での最後の審判を下す者』

「最後の………審判……………」

『ええ。貴方が7つの印を受け取るに相応しいか
見極める役目を担っていたの』


夕月は目を瞑り、そして微笑んだ
そして滔々と話し始めた


『第1の試練は青色のおしゃぶりを持つコロネロの戦闘力
参加者は嵐の守護者、獄寺隼人』


獄寺をチラッと見た夕月は眉を下げた


『粗削りな技の数々
気合だけで乗り切ろうとする楽天的な考え方
視野が狭く、目先のことでしか動けないその幼さは見ていてハラハラしたわ』

「んな!!てめぇ」

「落ち着けって獄寺」

「離せ野球バカ!!」


ぼろくそに言われた獄寺が額に血管を浮き上がらせる
それを山本が宥めるが、ツナはガーンと目を白くさせた


「(何かすごい言われ様だ!!)」

『でも、いざという時の決断力と
コロネロをねじ伏せた圧倒的な力は戦闘力を示していたわ
嵐の守護者も、10代目の力を最大限に発揮させるために動けていた、と判断できる』

「!!」

『第2の試練、紫色のおしゃぶりを持つスカルの魅力
参加者は雲の守護者と霧の守護者
これはアルコバレーノ側に問題があったと言えるけど
それでも因縁深い両守護者の戦闘を止めた事実は人柄あってのこと』

「何だとーっ!!」

「オメーは黙ってろ!」


叫んだスカルをリボーンが蹴りつける。スカルは沈黙した
夕月は微かに首を傾げると気にせずに続けた


『人を惹きつける力は魅力を持っていると判断できるし
貴方は普段恐れている2人に対して戦いを止めるという決断をした
それに雲も霧も従ったと判断できるわね』

「……従ったわけじゃないよ」




ガキン




「!!雲雀さん!!!」

「何してやがる!!」

「…落ち着いてくださいよ」


雲雀がトンファーを構え夕月に向かって振り下したのだ
しかし夕月は自分の身の丈以上の刀を鞘から抜き、トンファーを受け止めた
びくともしないその力に雲雀の口角が上がる


「ワォ。凄いね、君」

『血気盛んな少年ね』


楽しそうな雲雀に夕月はニヤッと笑うとトンファーを弾き飛ばした
目を瞠る雲雀の喉に切っ先を突きつける





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