頂を目指す二ノ姫X

□最後に繋ぐ
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桜はどこか、罪悪感のようなものを感じていた


『(……このままリョーマの記憶が戻らなければ…
このまま……違う道筋を歩んでくれるかもしれないなんて………
酷いこと考えるわよね……私は…………)』


桜は唇を噛み締めた
だが、視線を落として息を吐くともう一度振り返った
そして不安そうな1年トリオを一瞥した


『あなた達』

「え、あ、桜先輩」

「なんですか?」

『コレ』


差し出したのは桜の携帯電話だった
怪訝そうな3人に桜は告げた


『この中に、リョーマと対戦した人の大体の連絡先が入ってると思うわ』

「!!えっ!?」


驚く堀尾に携帯を握らせ、桜は一瞬目を伏せると3人を真っ直ぐ見た


『顧問でも、チームメイトでもいいから連絡をつけて、
リョーマと対戦してもらえるように聞いてみて』

「!!リョーマくんと?」

『記憶を失っていても、テニスは体に染みついてるわ
そこから記憶が戻る糸口が見つかるかもしれない
きっと桃だけじゃだめだわ。だから、なるべく多くの人を集めて』

「!!!はい!!!」

「わかりましたっ!!!」

「行ってきます!!」


桜の意図を理解した彼らはすぐさまスタジアムから出て行った
桜はその後姿を追って、拳を握ると試合に視線を戻した
背中から手塚の視線を感じるが無視する


大石と菊丸は1ゲーム先制していた
だがこのままでは終わらない





ドサッ


ドサッ






「!」


コートに、重りの入ったパワーアンクルとパワーリストが落ちた
彼らが本気になった証拠である
ジャッカルと丸井の凄みが増した






「調子に乗ってんじゃねーぞタコが」





「所詮こんなモンだろい」






それからの立海の猛攻に大石と菊丸は必死に食らいついていた
リョーマが帰って来ると信じて、
2人は自分達に出来る最大限の力で彼らと相対していた

だが、そんな余裕が通用するような相手ではない
ギリギリのところを何とか凌いでいる状態だ


『(厳しいわね………)』

「俺がいる限り打球は後ろへ通さねぇYO♪」

「出たぁ―――――っ
ジャッカル先輩の反復守備(ターンディフェンス)『ねずみ花火eat』
これで奴等も終わりだーっ!!」

「パワーリストとパワーアンクルを外した立海ペアはまるで別モノだぜ!!」

「彼らはこだわって皆の倍、20kgの負荷を掛けてたからな!」

「こ、これが全国ナンバー1ダブルスの真骨頂だぁー!!」


「しまった英二っ!退が……」


大石が向かって来たボールを巧く返球できなかった
菊丸はネット前の丸井に神経を集中させる


「(いや、丸井は妙技……………
何を仕掛けてくる!?
鉄柱当てか?綱渡りか?
大石も奴のボレーには困惑してるんだ
なら俺が――)」


ラケットを振りかぶった丸井
しかしその口元には笑みを浮かべていた
腕をおろし、左の脇腹から通すようにラケットを腹に回す


「…妙技






『時間差地獄』






「《ゲーム立海2−1!!》」


『……やっぱり、強いわね』

「……うん」


桜も不二も神妙な顔をした
ここから、さらに試合は激化していく




→atogaki
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