頂を目指す二ノ姫X
□最後に繋ぐ
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満足そうな表情で戻ってくる不二に、桜は仕方なさそうに笑った
『随分と内容の濃い試合だったわ』
「まったくだよ
でも本人じゃなくても手塚と白石と試合できて良かったかな」
『そう。なら良かったわね』
柔和な笑みを浮かべた不二は手塚の前に立った
「この大会が終わったら
僕と勝負してくれるかい?」
ニコリと笑う不二は、小さな声で言った
手塚にしか聞かせないように
「……最後のテニスとして」
「!!」
手塚も、その言葉で分かった
彼の言わんとしている事が
彼の考えている事が
手塚は桜にチラッと視線を向けた
会話が聞こえず首を傾げる彼女に息をつくと、不二の手を握った
「ああ。望むところだ」
「…不二……………先輩」
このやりとりに、リョーマが反応した
桃城がリョーマの肩に手を乗せ食いつくが、リョーマはオドオドと言った
「い、いえっスイマセン。でも本当にボクもテニス部に…!?」
「(チッ…まだ何も思い出しちゃいないか
このままじゃ試合なんて無理だ。どーする――――)」
覇気のないリョーマに桃城はグッと拳を握った
四天宝寺は今しがたのレベルの高い試合に感嘆していた
「コードボールに対してのカウンターっちゅー事は…
不二は完全に白石戦を糧に克服して来たっちゅー事やな」
「何や意外と白石も使えへんなぁ♪」
「金ちゃん。死にたいん?」
「うわぁ〜〜っ!!毒手はタンマ。勘弁してぇな!」
軽口を叩いた遠山は白石に左腕をちらつかされ慌てて弁明した
一方立海の雰囲気は硬かった
真田は低い声で仁王を目で追う
「所詮道化師(ピエロ)だったという事だ
仁王の奴、よほど殴られたく無いとみえる…」
仁王は立海のベンチに帰って来ず、観客席の高い場所に座った
真田の鉄拳制裁から逃れるためだが彼らしい行動に桜は苦笑した
そして、2人と向き合うと拳を合わせた
『頼むわね、2人共』
「任せといて!!」
「必ず、越前に繋ぐよ」
頼もしく、菊丸と大石は笑ってコートに向かう
緊迫した空気の中、アナウンスが響き渡った
「《続いて第4試合ダブルス1の試合を始めます》」
桜は膝の上で手を握り合わせた
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