頂を目指す二ノ姫X

□最終決戦!王子様VS神の子
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スタジアムの中に入れば、会場は異様な熱気に包まれていた
リョーマは幸村に必殺技を全て返されポイントを決められていた
しかし、幸村の肩にかけてあったジャージが落ちていた


『………リョーマが落としたのね』

「あ!!桜先輩!!」

「お疲れ様、桜」

『ええ。ありがとう』


タオルを差し出してきた不二に笑顔で受け取る
手塚が桜の頭を軽く撫でた


「すまないな、桜」

『いいえ。ちょっと疲れたけどね
あぁいいわスミレちゃん。私はここで』


ベンチから立とうとしたスミレに、桜は笑って手を振った
ここからでも、リョーマの姿が良く見える
何より、今の自分の立ち位置はここなのだ

すると幸村が冷淡な声を発した


「ボウヤ。これはジャージを落とすゲームじゃないよ」

「あっそ。じゃあそのゲームは俺の勝ち!」


肩にラケットを掛けて生意気に笑うリョーマに、立海は驚愕した
遠山でさえ幸村のジャージを落とすことは出来なかったのだ


「ツイストサーブで体勢を崩し、ドライブAで両肩を上げさせ、
COOLドライブで前に誘き出しまんまと―――越前らしいな」

「やっぱ越前は生意気くらいじゃないと。ねぇ“乾先輩”っ!?」

「へ?」


「「だから、バレバレっス」」


『当たり前でしょ』


包帯で顔を覆った乾はなぜ正体がばれたのだと肩を落とした
桜は見抜く者だから特別だと思ったのだろうがその眼鏡で一目瞭然である

手塚は立海の応援席に戻って行く真田の背中に礼を言った


「スマンな真田…」

「礼には及ばんよ」


そう返した真田の口元には笑みが浮かんでいた

反対に大石は険しい顔をした


「でも越前は必殺技を全て返されてる
切り札の『COOLドライブ』さえ返された。マズイぞこの試合―」






「You still have lots more to work on…」






「来たぁ――っ『無我の境地』!!
アイツはちょっとやそっとの事でしょげるタマじゃ無いっスよ!!」


リョーマからオーラが迸るのを見て桃城は嬉しそうに腕を振り上げた
桜は胸の前で拳を握り、口を引き結んだ
分かっていた


『(それだけじゃ……精市には敵わない…………)』

「んじゃ行くよ、神の子さん………」


リョーマのサーブ
それは比嘉中の田仁志が使っていた強烈なサーブ


「あれは―――ビッグバンだっ!!」

「パワーはあるけど打球が単純すぎる………」


しかしいとも簡単に返した幸村
リョーマはその打球をネット前、ラケットを振り上げた状態で待っていた


『……あれは蔵の円卓ショット!』

「おおっボールが分身したっ!!」

「ボールは分身などしない…常に1つだよ」


まるで物ともしない幸村
リョーマも負けじとボールを返した
そのボールが掻き消えた
四天宝寺、千歳の


「『神隠し』!!」

「ボールは決して消えたりなどしない


いつまで続けるんだ…無我は体力を無駄にするだけ…」


冷めた目の幸村は容赦なくリョーマとは反対側にボールを打ち返した
しかし、リョーマは生意気な表情でそこにいた


「ずいぶん現実的なんだね」

「風林火山の『雷』まで…」

「見せたんだ」


真田の『雷』をやはり返球した幸村の視線が一瞬真田に向く

すると、幸村はリョーマの雰囲気が変わったことに気付いて目を細めた


「っつあ!!」


リョーマがラケットの柄を短く持ち、擦るように、押さえつけるようにボールを打ったのだ
するとボールが不規則な軌道を描き、さらに凄まじい回転で空気を震わせる音がした




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