頂を目指す二ノ姫X

□最終決戦!王子様VS神の子
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真田は硬い声音で口にした


「確かにあの1年の成長は早すぎた」


険しい視線をリョーマに向ける
その目にはどこか憐みを含んでいた


「周りの強敵の技を―
その才能の高さ故に次々と会得していったが、あの無様な姿を見ろ!
あの百錬がいい例だ…無我の奥の扉も完全に持て余している







10年に1度の逸材集いし群雄割拠のこの年―――







その時代が創り上げてしまった悲しき産物なのかもしれんな







真田の言葉は桜にも届いていた
それは的を得た発言なのかもしれない
そして、その一端を担ったのは他ならぬ自分であることも分かっている

それでも、彼ならば見せてくれるのかもしれないと、心の奥底では思っているのだ
もう嘘はつけない。自分は、これほど





『(テニスが、テニスをしている君達が、好きなんだ……)』







だからこそ、幸村には、笑っていてほしいと思うのだ







リョーマが幸村に口を開いた
そこに悲壮感も諦めもない





「絶対アンタをギャフンと言わせてやる」





「早く負けた方がボウヤの為だよ」





汗をかき、息を上がらせるリョーマとは対照的に、
涼しい表情で疲労の色が見えない幸村
実力差が見えているのに、リョーマは笑ってサーブを打つ


「ムカちーん!泣かす!!」

「(たしかにこのボウヤの潜在的能力は認めるよ
そしてどんな逆境でも諦めない精神力も。でも―――)」

「ダメだ。百錬自得は完全に封じられている!!」

「!」

「うおぉ!!」

「アイツ百錬のオーラを全て両足に…!?」


切原が驚きの声を上げた
リョーマの足に百錬のオーラが移動したのだ
そのおかげか幸村の返球したボールに追いついた
さらに、今度はラケットを右手に持ち換えた
するとオーラも右手に移動する


「!」





「出たぁ――っ百錬の倍返し!!」





それすらも幸村は返してしまう
しかし桜はハッとした


『コードボール!!』

「(このボウヤはいったい………)」


ネット前に座り込んでスライディングしたリョーマ
ドライブBが決まった



「《15−40…》」






「次は………5球でいくよ!」







→atogaki
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