頂を目指す二ノ姫X

□最終決戦!王子様VS神の子
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リョーマが戻るまでの間、遠山が時間稼ぎの為に幸村と試合をした
しかし、そこで幸村の圧倒的な力を見せつけられることになる
リョーマと互角の戦いを見せた遠山を、簡単にあしらってしまったのだ
肩にかけたジャージを落とすことも無く


「…聞いた事があるぞ
アイツと試合をした相手は全て、
五感を奪われた様にイップスに陥ってしまう
付いたあだ名が―――







『神の子』幸村精市






















外のコートでは、いまだリョーマと戦った選手たちが息を切らせていた
桜は裕太にタオルを渡し、髪を掻き上げた

ベンチに座っていた跡部は、負けたにも関わらず晴れやかな表情だった
桜はその表情が気になった


『随分と楽しそうね』

「あーん?」

『なんだか、負けて嬉しそう』

「ハッ。まあ楽しい試合だったぜ」


喉で笑った跡部は、思い出したように唐突に上を仰ぎ、笑い声をあげた


「ハ――ッハッハッ
時代を変えちまえ。テメーの力でな!」

『……いきなり高笑いしないでよ』


息を吐いた桜は彼らを見回し、踵を返した
真田が口を開く


「……行くのか」

『………………ええ』


真田の声に、振り向かずに答える
もうリョーマたちが会場に戻ってそれなりに時間が経つ
試合が始まっているだろうから自分も行かなくてはと思う
だが、足が竦んだように思うのも事実だった
それを見透かすように、真田が桜の腕をとった


『!!弦一郎…』

「たわけが。試合を見逃すだろう」

「おい真田!ドサクサに紛れて何してやがる!!!」

「何を言っている。こやつが遅いのがいかんのだ」

『………分かった。大丈夫よ、ちゃんと歩くわ』


言い合いを始めた2人に呆れたように息をつき、桜はスタジアムへと足を向けた

その背中に、唐突に跡部が真剣さを帯びた声をかけた


「もう他の奴が言ったかもしれねぇが、桜」

『なぁに?』





「話がある」





『!!』





足を止めた桜に、跡部は言い聞かせるように言った


「試合の後、時間を作れ」

『…………ええ、分かったわ』

「………」


桜は跡部を一度も振り返ることなく足を動かし始めた
























幸村は、視線を上へと向けた
目を細め、静かに口を開く


「来たようだね」


彼の視線の先には、誰もが待ちわびた姿があった
生意気な表情、トレードマークの帽子
そして、赤と青と白の、青学のジャージがそこにあった
ラケットを向け、不敵に笑う









「おまたせ」









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