頂を目指す二ノ姫X

□Dear Prince
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光が収まった
それと同時に会場の空気が変わった

さらに、リョーマの雰囲気もまた一変していた
そして、それだけではなく桜は理解した


『(リョーマの霊圧が跳ね上がった……それに)』


思わず上空を見上げる
心臓が早鐘を打った
仕方ないこととはいえ、覚悟は決めているとはいえ、
息をつかざるを得ない


『(賭けには負けちゃった…かな、南次郎……)』


目を瞑り、深く息を吐いた


サーブはリョーマからだ
幸村はラケットを握りしめた


「(天衣無縫の極みか。見極めてやろう)」


しかし、リョーマはサーブのモーションをやめていた
驚く幸村だが驚くべきは別にあった





トトン





背後で、ボールがコートをバウンドする音がする
いつの間にか、サーブが打たれていたのだ






「ねぇ……審判の人。コールまだ?」






『………!』


桜の目にも、映らなかった
審判も唖然としていた


「えっ?あ…いや。見えなかったもので…モ、モニター班っ!?」


驚愕の表情を浮かべる審判が叫ぶ
モニターを見ていた男性は、信じられない面持ちで口を開いた


「は、入ってます…」


「《フィ…15−0…》」



審判も信じられなかっただろう
しかしモニターにはリョーマがサーブを打ち、コートに入れた瞬間が映っていた
リョーマは飄々と言った


「しっかりしてよ。んじゃ少し遅めにいくよ!」




ドッ




「!」


「《30−0…》」



今度は桜も辛うじて目で追えた
だが気を抜けばすぐに見えなくなりそうだった
幸村は反応すら出来なかった





「《40−0!》」





「《ゲーム越前1−4!!》」





サービスエースで1ゲームとられてしまった幸村は呆然とした
何が起こっているのか分からない
サーブを打ってもリターンエースで決まってしまった


「こ、これが…無我の奥の最後の開かずの扉






『天衣無縫の極み』なのか―――






「限界を超えやがった…






あの王子様はよ」






『………凄い…』






「《ゲーム越前3−4!!》」






リョーマは完全に幸村を押していた
神の子とまで言われた彼を翻弄している




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