頂を目指す二ノ姫W

□顕われた傷と
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―――――
―――



祝勝会を終え、手塚は帰路についていた
一人家へと足を進める
その間、考えていたのは先程の事









「部長は、桃城だ」









その時のざわめきは確かに大きかったが、だが誰もが受け入れていた
人当たりのいい桃城なら部を引っ張っていける
そう考えた末の結論だったが心配はいらないようだ
唯一の心配は海堂だが、彼も普通に受け入れていた









「俺も……桃城なら引っ張っていけると思います」









彼はしっかりとした目つきで、手塚にそう言った
そして、自分が桃城を支えていく、とも
普段喧嘩ばかりだというのに、こういう時、誰よりも頼もしくなるのだ

これが手塚の望んだこれからの青学の形だった


「(………そう…前々から考えていた………
海堂も………納得していたし…)」


だがどこか、腑に落ちなかった

何故、自分は桃城を部長にしたのだろうか

確かに人当たりの面で言えば桃城だった
だが自分を顧みてみれば、手塚は明らかに違う
どちらかと言えば海堂と同じで他人と話す事が得意ではない
むしろ人当たりのいいのは大石だ
では、人当たりだけを理由に桃城に部長を任せるだろうか


「(それに……桃城は他人に優しすぎる………
アイツに厳しいことを言えるか………)








お前はどう思う―――…っ








!!








それは、無意識というやつだった
横を向き、軽く視線を下げた手塚はそう口走っていた

愕然とした

誰もいないのに、なぜ自分は話しかけたのだ
何もない空間に
まるでそこに誰かがいるのが当たり前のように
口を手で覆い、手塚は呆然とした
いや、込み上げてくるソレに目を見開いた







「……俺は……………何を………」







それは、先ほども感じていた不快感だった
リョーマと話した後、乾と話し込む時間があった
そこで、不可解な話をしていたのだ




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