頂を目指す二ノ姫W

□導かれた者と
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『あなたの無茶は今に始まった事じゃないけど…
今回は特に酷いわね』
『…ありがとう……お疲れ様………
お帰りなさい』
「………ああ…ただいま」


中にはすでに手塚たち以外の関係者が揃っていた様だ
ざっと見て30人ほどである

優雅にイスに座っていた跡部は執事に連れられてきた手塚を見るなり立ち上がった
その表情は明らかに不機嫌を表していた


「遅ぇ」

「悪いね跡部。意外と道が混んでたんだ」


柔和な笑みを浮かべてそう言った不二に鼻で笑い、跡部は入って来る様に促した


「この人数だ。適当な所で座るなりしてろ」

「ああ」

「おい。もういいぞ
俺様が呼ぶまで誰もこの部屋に近づけるな」

「かしこまりました」


恭しくお辞儀をして部屋から出て行った執事
その気配が遠のくと、跡部が室内をぐるっと見回した


「……これで全員か」

「なんや……こんなにおるんかいな」

「予想より遥かに多いよ」


忍足が顰め面をし、幸村が嘆息した
鳳が跡部を見る


「ざっと数えましたけど29人ですね」

「そ、そんなにいるんですか」


裕太は目を丸くする

それにしても、珍しい取り合わせになった
手塚はある一点を見てしみじみと思った


「……まさかお前もいるとはな、木手」

「…………私も驚いていますよ
このような不快な出来事に巻き込まれていることにね」


煩わしいと表情に浮かべる木手は肩を落とした
彼以外に比嘉中の姿は見当たらない。彼一人の様だ
同じく一人、六角中の佐伯はある程度木手と離れた場所にいた
それに気づいた不二が挨拶をしに行った


「合宿参加校で全員覚えが無かったみたいなのが不動峰だな
山吹は千石と亜久津が来てるし」

「うん。でもまさかあっくんまでとは思わなかったなぁ」

「ウルセー。気色悪ぃ呼び方すんじゃねぇ」


人を射殺さんばかりに細められた目に晒された千石だが、へらへらと笑って躱していた
思わず感嘆の息を吐く

すると、それまで黙っていた跡部が我慢の限界を超えたのか声を張り上げた


「おい。そろそろ始めるぞ!
今回テメェらを呼んだのは、






ここにいる全員が感じている






違和感の正体を探るためだ!!






跡部のその言葉に、全員の目に真剣さが灯る
ジローがしっかりと目を開けていることからも事の重大さが分かるが、
遠山だけはどこか居心地悪そうにしていて、それを白石に窘められていた


「いかんせん漠然としてるからな
何か気づいたことがあれば遠慮なく言え
どんな小さなことでもいい」

「………とは言ってもの…
漠然としちょるからこそ何を言っていいのか分からなんぜよ」

「まぁ、仁王くんの仰っている事は一理ありますね
そもそも違和感と言っても、全員感じ方が違うのでしょう」


仁王と柳生の言葉に跡部は顔を顰めた
確かに言っていることは正しい
跡部自身も随分と混乱しているようだった
そのことに跡部は内心舌打ちをした


「(クソッ。情けねぇ)」

「………だったら、それぞれ違和感がある時のことを順に話していかないかい?
もし同じような時期にそれがあるなら、
この曖昧な違和感にも少なからず確証を持てると思うよ」


幸村が柔らかく言うと、木手がメガネを押し上げて口を開いた






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