夜空を纏う四ノ姫4

□夜の謎
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「さて、話がまとまったところで





桜のことについて話をするぞ」





リボーンが唐突にそう言ってツナは一瞬固まった
リボーンはお構いなしに手塚と入江を見上げる


「桜のことについて知ってることがあったら話してくれ」

「いきなりどうしたんだい?」

「少し気になることが出来てな」


表情を曇らせたリボーンに何かを感じたのか、手塚はわかった、と頷いた
ツナは手の中にある黒い匣に目を落とした
黒い匣は桜の、夜の匣兵器だ
その事実がツナの心を軋ませる


「(10年後のオレは、桜の事を………)」

「桜のことって何?さっさと言いなよ」


殺気立つ雲雀に入江は冷や汗を流した
手塚が生唾をのみ込み固まる入江を庇うように前に出た


「夜の存在そのものが7でも特別だという話はしたな
それと同時に夜の炎を灯すことの出来る桜は7の重要な位置にいる
そのことをまず理解してくれ」

「桜が……重要……?」


クロームが悲しげに呟いた
消え入りそうな弱々しい声に赤也が顔を顰める


「みんなも知っての通り、夜の炎を灯すことが出来るのは桜だけだ
だから桜自身貴重な存在だ
前はボンゴレリングの、今はマーレリングの保持者として絶大な力を持ってる」

「そういえば7って7+1って言う時もあるよね?」

「ああ。7というのは本来ボンゴレリング、マーレリング、アルコバレーノのおしゃぶりに
大空・嵐・雨・晴・雷・雲・霧の7つの属性があることをいうんだ
。7を3乗した数ということだよ」

「さらに1は夜属性のボンゴレリング、マーレリング、アルコバレーノのおしゃぶりのことを指すんだ
だから正式には7+1っていうんだ」


入江と不二がそう言えば、ツナは若干混乱気味だったが何とか頷いた
するとリボーンが入江を見上げた


「7に+1という夜の要素があることは知ってたぞ
ただ夜のおしゃぶりは大空の管理下に置かれていてアルコバレーノはいないと聞いていた」

「うん。僕もそう聞いているけど」

「え……でも、夜のアルコバレーノはいたよ?」


ツナの言葉に、入江は衝撃を受けたのか目を見開いた


「えっ!!夜のアルコバレーノ!?」

「え、うん」

「確かアルコバレーノの試練の最後の審判を下す者だって言ってたな」

「ああ。確か夕月だよな」

「ウム。極限に只者ではなかったな」

「確かに、ヒバリさんの攻撃を受け止めてたし」


刀でトンファーを止めた夕月を思い出してツナは口を引き結んだ
すると獄寺がリボーンを見下ろした


「ところでリボーンさん
リボーンさんは夜のアルコバレーノがいることをご存知なかったんですか?」

「ああ。オレたちアルコバレーノは
大空のアルコバレーノを除いて誰一人としてアイツの存在を知らなかったんだぞ」

「えっ。なんで?」

「さあな。忘れている、と言ってたがな」

「?」


言葉を濁したリボーンにツナは首を傾げた
だがリボーンは口を堅く引き結び、俯いた

入江はあわあわしていたが、ハッと我に返った


「ま、待ってくれ
10年前の試練の時に夜のアルコバレーノが現れたのかい?」

「うん。突然現れて、オレがアルコバレーノの印にふさわしいか見極めるって……
それで質問をされて、合格って言われて印をもらったんだ」








『貴方の、貴方たちの覚悟と決断。しかと受け取りました』



『夜のアルコバレーノ、夕月の名に於いて沢田綱吉への最後の審判を終了します
私の最後の審判、決断力を合格とし、アルコバレーノの試練は全てクリアです
あなたを、アルコバレーノの印にふさわしいと認めます』



『さあ、ボンゴレリングを』









夕月の決然とした声を思い出しツナは表情を引き締めた

しかし入江はツナたちの説明に頭を掻きむしった


「どういうことだ……?そんなこと聞いてないぞ」

「えっ?」

「確かに夜のおしゃぶりが存在していることは知ってる
だけど、その存在は大空の管理下に置かれていて
夜のアルコバレーノなんて、夕月なんて聞いたことない。誰なんだ………?
手塚くん!!君達はこのことを知っていたのかい?」


鋭い目に見つめられた手塚はいや、と首を振った
不二も目を開く


「……夜属性の特殊性から試練自体は出来ると思っていたし、そう聞いてる
でも、アルコバレーノが存在しているなんて知らなかったよ」

「ああ。一体、どういうことなんだ?」

「まぁ心配すんな。オレの中で今までの説明で仮説が立った
この事についてはオレに預からせてくれ」

「リボーンさん……分かった」


入江は複雑な心境だったが、リボーンの嫌に真剣な表情に渋々頷いた
しかしツナも納得がいかず、表情を曇らせた
その空気にイラつく雲雀を察知して手塚は空気を変えるように声を発した




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