夜空を纏う四ノ姫4

□夜の謎
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「それで、桜のことだが」

「あ、ああ…そうだったね
桜は夜の炎を灯すことのできる唯一の存在
だからか桜と1。つまり夜のボンゴレリング・マーレリング・アルコバレーノのおしゃぶりは
において『鍵』もしくは『最奥の鍵』と呼ばれてるんだ」

「最奥の……鍵?」

「うん。7の運用で大事な役割を果たすらしいんだけど
それについてはまだよく分かっていない部分があってね」


また今度にしよう、と言葉を切った入江はツナを真っ直ぐ見てこう続けた


「白蘭サンは桜にしか灯すことのできない夜の炎と
夜属性の桜の体が7のために欲しいんだ
だから桜は白蘭サンと一緒にいちゃいけない
桜を、助けなきゃいけないんだ!!」

「…でも……桜は………」

「………綱吉くん」


顔を曇らせたツナ
だが、リボーンがまたもや跳び蹴りを喰らわせた
今度は思わず赤也は手を叩いてしまった
あまりに鮮やかだ


「イテェッ!!」

「10代目!!」

「いつまでウジウジしてんだ、ツナ
10年前の桜はお前達のことを心配してたぞ
だからこのリングをオレに託したんだ」

「!!そうだ!!夜のリング!!」

「小僧!いつ桜と」

「10年バズーカでこっちに帰る時だ
桜は、わざわざイタリアから戻って来たんだぞ」


にっと笑ったリボーンは、床に尻餅をつくツナと向き合った


「桜は勘がいい
ツナとの電話でオレたちに何かあったんだと気づいてイタリアから急いで戻って来た
だが忙しくしているツナ達を見て、オレに伝言を残したんだ」










『リボーン。みんなに言っておいてくれる?』

「………何をだ?」

『遠く離れていても、私は皆のことを思ってる





いつでも一緒にいるわ』













それを聞いたツナははっきりと傷ついた顔をした
手塚は、静かに目を閉じた


「桜なりに、ツナが言ったことに自分が関係していて
今会うのは得策じゃないと判断したんだろう
だからオレに伝言を残してきたんだ」

「………桜」

「ツナ。桜がオレたちを敵だと思っていても、目を覚まさせてやればいいじゃねーか
それとも何か理由があるんだとか考えればいいじゃねーか。甘ちゃんなお前らしくもねぇ」

「……リボーン」

「うん。彼の言う通りだよ」


不二も笑っていた


「桜は、僕たちが知っている桜だけじゃないと思う
でも、君達と過ごしてきた桜は決して偽りなんかじゃないよ」

「……不二さん」

「周助でいいよ、綱吉君」


柔和な不二の笑みを見て、ツナは途端に罪悪感に包まれた
彼女に投げつけた言葉の数々は、もう、取り返せない


「(……そうだよ。桜は桜だよ
なのに、10年前の桜は何も知らないのに、酷い事言って……)」

「帰ったら、謝らなきゃいけねーな」

「山本……」

「アイツは、何も知らないっスもんね」

「獄寺くん………そうだね」


桜に、謝らなければならない
そのためには、平和な10年前の並盛に帰らなくては
ツナは顔を上げて訊いた


「桜は白蘭が7の為に桜をひきこんだことを知っているんですか?」

「ああ。それを知った上であそこにいる」

「ただ、まだ分からないことがあるんだけどね」

「?」


口ごもる入江にツナは疑問符を浮かべた
リボーンが力強い声で言う


「とにかく、白蘭に勝たなきゃなんねーってことだな」


ツナは黒い、桜の匣を見下ろした
ギュッと握りしめる


「(白蘭と、桜との新たな戦いが始まる……
チョイスってなんだ。真6弔花って……
それに、あの優しかった桜と、戦わなくちゃならない……
分からないことだらけだし、正直に言って、桜と戦えるか分からない
でも、やらなきゃならないんだ
オレたちの未来を守るために……





桜に謝るために)」





ツナ達は、新たな決意を胸に次なる戦いに臨む






→Un afterword
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