頂を目指す二ノ姫W
□悲しき決別と
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『貴方たち、いい加減に』
「ごちゃごちゃウルセーな」
『!!仁!?』
彼は誰もが予想だにしていなかった
全く口を開かず、面倒くさそうにそこにいた亜久津に誰しもが唖然とした
だが亜久津はその視線など気にも留めず、その切れ目の目を桜に向けていた
「てめぇの事なんざ知らねぇ。黙ってつれて行け」
『どうして……貴方まで………』
「みなさん、何を言ってるのかちゃんと理解していますか?」
浦原が、目元に影を落としてそう言った
そこに飄々とした様子はない
どこか寒気を感じさせるそれに、だが怯まない
彼女と肩を並べる為には
彼女と共にいる為には
「…………今まで…俺達は桜に護られていた」
知らない間に、彼女に護られていた
彼女の優しさに、護られていた。だから
「なら今度は俺たちがお前を護ろう」
強くて、しかし誰よりも脆い彼女を
その華奢な体で、何もかもを守ろうとする彼女を
かつて愛した、大切な彼女を
「それが、今の俺たちの願いであり、希望だ」
こんなにも彼女を護りたい
共にありたいのだ
この感情にまだ名前はつけられない
もしかしたら、子どもじみた感情なのかもしれない。だが、それでも、
もう二度と、彼女と離れたくはなかった
支えたいと思ったのだ
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