夜空を纏う四ノ姫4

□決戦の日
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「そうだね、桜。君の憂いももうすぐ終わるよ
景チャンと蔵ノ介クンもやっと肩の荷が下りるね」

「はい」

「今日が奴等に引導を渡す日であり、世界の再スタートですからね」


白石が神妙に頷き、跡部が不敵な笑みを浮かべた

桜は白蘭の肩に頬を寄せ、穏やかな声をして言った


『これで…私の存在を認めてくれた貴方の傍に、ずっといられるのね』

「うん。そうだよ。もう君が理不尽な運命なんかに振り回されないで済むんだ」


安堵の息を吐く桜の頭を白蘭が撫でる
すると、ブルーベルが桜の腰のあたりに抱きついて来た
頭を擦りつけるようにすり寄る


「ブルーベルもさくらのそばにいてもいい!?」

『ええ、もちろん』

「おい電波。桜様を呼び捨てにするなってのバーロー」

「ハハンっ。ブルーベルは本当に我らの姫が好きですね」

「当たり前だもん!!さくら大好き!!」

『フフ。ありがとう』


ブルーベルの髪を梳いてやりながら桜はにっこりと笑った
白石がわざとらしく咳をする


「えーっと、そろそろ行かへんのですか?」

「というか、いつまで桜にひっついている気だお前」

「お前じゃないもん。ブルーベルだもん。ケイゴうるさい!!」

「アーン!?」

「まぁまぁ景吾。落ちついてや」

「そうだぜ。電波の相手してると疲れっぞ」

「なんですってザクロ!!」

『フフ』


桜は彼らのやりとりを見て笑みを零した
指にはめられた夜のマーレリングを触りながら目を細める


『(いよいよね)』
























ボンゴレアジト


「どおハルちゃん?」

「ほとんど酔っぱらいです。服を脱ごうとしたままねむってます」


ひそひそとドアから部屋を覗き込んで話しているのは京子とハル
彼女たちの視線の先には、壁に寄りかかるようにして寝ている入江がいた
眼鏡も外していない


「わあ。よくあんな姿勢で…」

「ナイトキャップまでキッチリかぶって寝ていたスパナさんや
ちゃんと起きていた手塚さんや不二さんや幸村さんとはすごいちがいです…」


白蘭がボンゴレアジトの回線をジャックしたその後

イタリアの主力戦を終えたスクアーロが山本の家庭教師になるため来日した
それについて来たのがミルフィオーレとして戦っていた10年前にいた幸村精市だった

彼は手塚たちと同じく
桜の目を覚まさせ彼女を助けるためにヴァリアーに、ボンゴレにやって来たのだ
だが、なぜ10年前の姿なのかは曖昧なままだが

この6日間、彼は主にクロームの修行と
京子とハルの手伝いをしていたので2人ともかなり仲良くなっていた

ちなみに、赤也を起こしたのも幸村だった
最初は半分寝ているのと同じ状態だったが
幸村に何か耳打ちされると飛び上がるように起きたのだ

京子は全く気付かずに熟睡している入江に申し訳ないように眉を下げた顔をした


「それだけ疲れてるんだね
昨日このアジトに来るまで毎日ほとんど徹夜だって…」

「ですがここは心を鬼にしていきますよ!」


2人は頷き合い、こっそりと部屋に侵入した
フライパンと鍋を片手で持ち、お玉をもう一方で持って盛大に打ち叩いた






「「起きてくださーい!!!」」






「ひゃ、なに――!?火事!!?地震!!?」







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